『刑事コロンボ 二枚のドガの絵』W・リンク、R・レビンソン/藤崎誠訳(二見書房サラブレッド・ブックス11)★★★☆☆

刑事コロンボ 二枚のドガの絵』W・リンク、R・レビンソン/藤崎誠訳(二見書房サラブレッド・ブックス11)

 刑事コロンボのノヴェライズの翻訳――という体裁ですが、実際には訳者となっている藤崎誠こと瀬戸川猛資がシナリオをもとに書き起こしたものだそうです。

 何か独自の工夫がされているかと期待したのですが、そんなことはなく、比較的テレビ版に忠実になぞってありました。

 なるほど犯人やコロンボの心理描写があるため、計画性や捜査方針が明確になってはいますが、そのせいでテンポが悪く、また犯行の粗が目立つ結果となってしまっています。

 テレビ版との一番の違いは、共犯者のトレイシーがデイルの犯行直後におこなうある行為です。無茶苦茶すぎて、デイルとしてはたまったものではありません。シナリオの段階では存在したのか、ノヴェライゼーションの際に付け足したのかはわかりませんが、芸術家らしい要素を加えるつもりだったのかもしれません。

 ベラスケスや『お熱いのがお好き』への言及はテレビ版にはないもので、特に『お熱いのがお好き』とスパッツ・コロンボへの言及は瀬戸川氏によるレヴィンソン&リンクへのオマージュでしょう。

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