『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』(SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW,2004年,米)★★★☆☆

 ジュード・ロウグウィネス・パルトロウ

 新聞記者のポリー(パルトロウ)は科学者連続失踪事件の謎を追っていた。次は自分が狙われると話す科学者を取材後、町を襲うロボットの大群に遭遇する。空軍の登場でひとまずロボットは撃退。空軍の飛行機に乗っていたのは恋人ジョー(ロウ)だった。そんなこんなで今度は空飛ぶロボットの襲撃。ロボットを操る信号の発信源を突き止めた直後に、ジョーの同僚デックスが誘拐されてしまう。黒幕を倒しデックスを救うため、ジョーとポリーは一路ネパールへと向かうのであった……。

 ――と書きましたが、ストーリーは気にしなくていいでしょう。初めこそ謎が謎を呼ぶ展開で惹きつけましたが、後半のネパール出立後あたりからわりと(かなり)ストーリー展開が雑になってきます。

 見るべきはCGでしょうな。全編CG処理だとか。『ヴィドック』も確かそうでした。あれもかっちょよかった。たとえば背景の空は実際の空ではなく、ドラクロワとかの絵に描かれた空を思わせました。絵や資料をもとに十九世紀のフランスを再現するのではなく、絵や資料をそのまま映像に起こしたような作品でした。で。この『スカイキャプテン』はというと、近未来ならぬ近過去のアメリカ etc. が舞台。再現されたのは近過去ではなく、近過去の映画や漫画に存在したSFの世界。

 チープなロボットや光線銃がたまりません。こういうSFガジェットにどれだけ愛情があるかで、どこまで面白がれるかが分かれると思います。鑑賞者を拒んでいるわけではないのですが不親切ではあるので面白さがわかりづらいかも。例えば。デックスが開発した光線銃とか水空両用飛行機っていうベタベタのSF漫画ガジェットはいわばギャグなんですけれど、作品世界の設定もベタな設定にしているせいで、作品設定とギャグとの境目が曖昧で最初はなんだかよくわかりませんでした。光線銃はさすがにギャグだろうけど、ロボットは違うだろう、とか思うんですが(どうなんだろう?)。

 空母が出てくる辺りからストーリーは投げ遣りに。でもジョーとポリーのやり取りが飽きずに楽しませてくれます。ラストもおしゃれ。あそこですぱっと終わるのが◎です。エンドロールもなければ往年の名画みたいだったのに。

 ジュード・ロウがかっこいい。普通にかっこよすぎてジュード・ロウじゃない。少なくとも『A.I.』と『ガタカ』のジュード・ロウではない。個人的には、もっとひねくれた役をやってほしいなと思う。グウィネス・パルトロウともどもちょっと役不足の感が。

 気になった点。編集長がポリーをやたらと心配してるもんだから、親代わりかなんかポジション的になんかあるのかと思っていたのに、途中からまるっきり消えてしまった。ロボット来襲を告げる新聞記事。日本の新聞の見出しがいかにも戦中戦後の新聞っぽくてとてもリアルだった。
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