『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス フロイト文明論集2』ジークムント・フロイト/中山元訳(光文社古典新訳文庫)★★★☆☆

 『Warum Krieg?』Sigmund Freud

 フロイト文明論集2ということですが、その1の『幻想の未来/文化への不満』と比べると、文明論というよりただの精神分析の傾向が強かった。

 タイトルは魅力的なんだけどな。でも戦争という相手がでかすぎるのか、なんだかほとんど一般論みたいだったし、「戦争」は駄目でも「死」についての考察があるのかと期待していた二論目以降は、文明論でも哲学的文章でもなく完全な精神分析だし。四、五論目なんて『精神分析入門・続』からの抜粋だし。

 精神分析として優れているかどうかにかかわらず、精神分析自体があまり好きではないわたしにとっては、しんどい本でした。

 人間には戦争せざるをえない攻撃衝動があるのではないかというアインシュタインの問いに答えた表題の書簡と、自己破壊的な衝動を分析した「喪とメランコリー」、そして自我、超自我エスの三つの審級で構成した局所論から新しい欲動論を展開する『精神分析入門・続』の2講義ほかを収録。(カバー裏あらすじより)
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