『ジーヴズと婚礼の鐘』セバスチャン・フォークス/村山美雪訳(竹書房文庫)
『Jeeves and the Wedding Bells』Sebastian Faulks,2013年。
ウッドハウス財団公認のバーティ&ジーヴズものの続編(パスティーシュ)です。
アガサ叔母さんから逃れることとウッディたちの問題を解決すること、いずれも一石二鳥で解決してしまうジーヴズの機転が光ります。
バーティとジーヴズの立場が逆転してしまうのも面白いのですが、そのきっかけとなったのがウッディというポンコツがテンパって口から出任せを言ったからなのに、そのウッディにさえ当然のごとくポンコツ扱いされてしまうバーティというのも、見慣れた光景です。
バーティたちが当事者カップルらに嫉妬させることで愛情を再確認させるというしょーもない作戦を実行するものの案の定うまくいかず、余計にこじれさせてしまうのも、原典でお馴染みのものでした。
いちばん笑ったのは、ジョージアナの部屋に忍び込んだバーティが家人に見つかりそうになって逃げたのを、デイム・ジュディスから以前にも同じようなことをアガサ叔母さんの甥っ子がやっていたと証言されるところです(p.250)。やらかし過ぎているバーティだからこそ成立する奇跡でした。
クリケットの試合のドタバタも、「タッピーの試練」などで描かれてきたものです。
そのクリケットの試合には、エズモンド・ハドックやスティンカー・ピンカーといった顔ぶれが集うファンサービスもありました。
そして終わってみれば、すべてがジーヴズの掌の上だったとは。
けれど仕方ないとは言え、オリジナルの面白さというよりは、原典でお馴染みの場面を継ぎ接ぎした感は否めません。
それでも帯にあるようなシリーズの「大団円」を見ることが出来たのは満足でした。もとよりチャペルに備え付けられた幾つかの鐘が鳴らされるのなら「Wedding Bells」が複数形で当然ではあるのですが、実は婚礼も複数だったというのは洒落ています。
バーティは休暇中に出逢った魅力的なジョージアナに恋心を抱くも、彼女が後見人のハックウッド卿のために政略的な婚約をしていることを知る。がっかりしたバーティだったが、奇しくもその直後にハックウッド卿の娘と婚約している友人から婚約者の誤解を解きたいとの相談を受ける。ひと肌脱ごうと決意するも不運な偶然が重なり、なぜかジーヴズが貴族になりすまし、バーティは近侍としてハックウッド卿の屋敷に滞在することに。ゆで卵すら作れないバーティは当然次々と騒動を巻き起こし、さらに彼の“作戦”が火に油をそそぎ……。果たしてバーティは恋を成就させ友人の危機を救うことができるのか?
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