『キマイラの新しい城』殊能将之(講談社文庫)★★★★★

 ハハハハハ(^^)。石動戯作シリーズのなかでは一番好きだな。

 のっけからもの凄い設定だし、真相も人を食ったといえば人を食ってるんだけれど、ちゃんと本格ミステリしてるものなあ。そのくせ、見せネタだけでできているといっても過言ではないような。

 しかも歴史ミステリ+ドン・キホーテ。愉快です。

 回想シーンと再現シーンが食い違っていたり、中世フランスと現代東京のギャップに戸惑ったりするお約束のほか、コスプレ大会、中世戦記物語、名探偵ごっこに刑事ごっこ、何でもありで楽しめる。

 実際に騎士のころよりも、現代の東京で暴れたときの方が騎士らしいのが皮肉。これって文字通りの異邦の騎士だよね。「敗北」後750年ぶりの勝利で心のしこりも解けてって単純なわけにはいかないのか。。。その寂しさが逆にいい味出してます。大オーミさんの言う通り、「冷酷で独善的」ではない「腹を割って話せそう」な、魅力的なじーさん(もとい若者)なのです。

 「わが死の謎を解ける魔術師を呼べ」フランスの古城を移築後、中世の騎士として振舞い始めた江里。750年前の死の真相を探れ、という彼の奇想天外な以来で古城を訪れた石動戯作は、殺人事件に遭遇する。嫌疑をかけられた江里が向かった先は……。ミステリの枠に留まらない知的エンタテインメントの傑作!(裏表紙あらすじより)
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