『王妃マルゴ』アレクサンドル・デュマ/鹿島茂編訳(文藝春秋)

 デュマの原作を半分に縮めたダイジェスト版。デュマを凝縮したらめちゃくちゃ面白くなるような気がするんですが、意外とそうでもありませんでした。親切なつもりの「あらすじ」部分がかえって物語を寸断しています。思い切ってばっさり切るなり翻案してくれたりした方がデュマの熱気が持続してよかったと思います。

 でも鹿島茂氏のコラムや解説が充実しているので、氏のエッセイのファンならそれ目当てに買う価値はあります。カトリーヌ・ド・メディシスは本当に女スパイ軍団を使って政敵の男を籠絡していたのか? 当時の宿屋で「部屋は一つしか空いてないよ」と言われたときの意味は? 政略結婚したマルゴとアンリのあいだには性的な関係はなかったのか?

 血塗れのマルゴをカバー画に選んでいるのが妙に可笑しい。違和感なく絵になってはいるんだけど……なぜこのシーンを選んだんだろう?
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