『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』48・49(アシェット)

ミステリーゾーン』48「甦った過去」「連れて来たのはだれ?」「エジプトの女王」

「甦った過去」(Spur of the Moment,1964.2.21,ep141)★★☆☆☆
 ――アンは乗馬中に黒服の女から追われ、家に逃げ帰って来た。ちょうどその頃、アンをあきらめきれない元恋人のデヴィッドが家に押しかけて来た。執拗なデヴィッドに、家族や現在の婚約者は強硬な態度を取るが……。

 リチャード・マシスン脚本。エリオット・シルバースタイン監督。黒服の女がマントを広げる理由がわかりません(^^;。マシスンは黒服の女の正体が早い段階でわかるこの編集にがっかりしたと冊子には書かれてありましたが、この結果オチのある話ではなく、過去は変えられない・自分の決断の間違いという悲劇性がより強まる作品になっていたように思います。
 

「連れて来たのはだれ?」(Stopover in a Quiet Town,1964.4.24,ep150)★★☆☆☆
 ――ボブとミリー夫妻はパーティー帰りの翌日、知らない家にいた。電話や抽斗は上面だけで、冷蔵庫には作り物のパン。どこからか笑い声が聞こえて来た。

 アール・ハムナーJr.脚本。ロン・ウィンストン監督。どう考えても何かのセットのような町並みなのですが、夫婦は町の造りには疑問を感じず「住人が誰もいない」ことだけを不思議がっているところに違和感を感じます。それがあるいはオチから目をそらせるためだったとしても、結局は予想通りのオチなのですから、目的はうまくいっていません。夫役のバリー・ネルソンは『シャイニング』のホテル支配人だそうです。
 

「エジプトの女王」Queen of the Nile,1964.3.6,ep143)★★★☆☆
 ――芸能記者のジョーダンは、女優パメラ・モリスの美しさに惹かれ、取材を申し込んだ。13歳で『エジプトの女王』に主演して映画デビューし、現在38歳のパメラは現在も美しかった。30年前の映画に出演している記録もあるが、何かの間違いだという……。

 ジェリー・ソール(&チャールズ・ボーモント)脚本。ジョン・ブラハム監督。永遠の若さ云々というアイデアだけならよくある話ですが、老婆の告白は衝撃でした。表現の仕方ひとつでアイデアは生きもするし死にもするのですね。
 

ミステリーゾーン』49「狂った映像」「生きている仮面」「暗黒の死刑台」

「狂った映像」(What's in the Box,1964.3.13,ep144)★★★☆☆
 ――タクシー運転手ジョーが直してもらったテレビを点けると、そこには浮気相手と会っているジョーが映っていた。妻のフィリスに見られないようテレビを消してから、もう一度テレビをつけると、今度は喧嘩の末に妻を殺してしまった自分の姿が映っていた。

 マーティン・M・ゴールドスミス脚本。リチャード・L・ベア監督。二人そろって短気にも程があります。テレビで妻殺しを目撃して改心したはずなのに、あっさり逆上しただけでは飽きたらず、テレビと同じ場面になっても頭に上った血が戻らないのだから呆れます。未来を見ていったんは改心しながらその改心が悲劇に組み込まれているのが上手い構成でした。
 

「生きている仮面」(The Masks,1964.3.20,ep145)★★☆☆☆
 ――ジェイソン・フォスターが心臓病で臥せっているところに、娘一家が遺産目当てに見舞いにやって来た。ジェイソンは娘たちに、パーティーでは仮面をかぶってくれと頼むのだった。仮面には性格付けがあり、自分とは反対の性格の面をかぶらなくてはならない。

 アイダ・ルピノ監督。老人がもっと虐げられているとか、身動きが取れずにこれしか方法がなかったとか、仮面の能力についての伝承とか、もう少し何かあればよいのですが。ちょっと都合のよい仮面すぎました。
 

「暗黒の死刑台」(I am the Night - Color Me Black -,1964.3.27,ep146)★★★★☆
 ――ジャガーという男の死刑執行の日、七時半になっても陽が昇らなかった。死んだ男は凶暴な狂人だったが、それでなくとも新聞記者のコービーによれば、ジャガーは無罪の可能性があった。陽はまだ昇らない。

 アブナー・バイバーマン監督。おお、ミステリーゾーンでも何でもない、ただの社会派ドラマでした。「太陽が昇らない」のは「闇」の象徴を具現化したものだったんですね。声高に無罪や正義を叫ぶのではなく、人間性のほうを炙り出そうとする演出に、いいドラマを見た、と実感しました。
 

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