「変わらないもの」なーき(『good!アフタヌーン』2017年9月号)

『ひさかたのおと』01「はじまりのおと」石井明日香
 ――故郷の離島に教師として戻って来た柚木巽。島ではなぜかきらきらと光るものや、鷺の姿が目についた。生家の庭には片翼の鷺がいて、庭木にある翼のような跡に触れると……。

 「あめつちのうた」(→『good!アフタヌーン2016年3月号)で四季賞を受賞した著者による新連載です。連載第1回目なのに曖昧模糊としていて強烈なインパクトはないのですが、「あめつちのうた」もそもそもストーリーより漫画表現が優れた作品でした。
 

巨娘』32 木村紺
 前回の続き。伊豆に旅行中のジョーさんと美樹でしたが、地元暴力団員のサル吉に旅行をめちゃくちゃにされてしまい、ジョーさんが反撃に出ます。
 

「眠れる男子とプリンな夜」やぐちふみ
 ――ひきこもりオタクの伊吹の目の前に、魔法少女(28)のような恰好をした怪盗ダイナマイト☆プリンが現れた。全財産を渡さないと殺すと言われた伊吹は、運命という言葉に逃げ込むことをやめ、本音を絞り出す……。

 第3回四季賞新人戦。オタクの妄想の具現化――のように見えながら、実際にはリアルで生々しい人間であり、無条件に尽くす魔法少女などではなく本人の気力を引き出す支援員だった……という批判的な視点がありました。
 

「変わらないもの」なーき
 ――小学6年生のナオの妹は姉のお下がりを嫌がっていた。自分に姉がいればマネばっかりしてると思うけどなあ……。以前はよく遊んでいた浅野は、去年くらいから急に大人びた行動を意識しはじめて、今では級友の男子からも疎まれていた。だが浅野の兄の元カノやかつての遊び場「緊急避難所」がきっかけで浅野との交流が再開しはじめ……。

 四季賞受賞作。絵柄・ストーリーともに、これぞ四季賞という感じの漫画です。浅野が学校の階段でちょっと強引にナオを引き留める行為や、アイスクリームを食べるナオを見つめる浅野の視点など、読み返して見ると、ケイコさんに教わったと思しき場面が散見されます。最後の数ページ、ストレートだったナオの髪にウェイブがかかっているように見えるのは、意図的なものなのかたまたまそう見えるだけなのか、はかりかねます。
 

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