『アカシアは花咲く』デボラ・フォーゲル/加藤有子(松籟社 東欧の想像力15)★☆☆☆☆

『アカシアは花咲く』デボラ・フォーゲル/加藤有子(松籟社 東欧の想像力15)

 『Akacje kwitną』Debora Vogel,1935/1936年。

 2006年の再刊によって再評価された、ポーランドイディッシュ語作家の短篇集です。モダニズムモンタージュという言葉から想像できる通り、どこの誰とも特定できないストーリーもつながりもない断片がつらなって構成されていて、こういう実験系の作品は、今となっては逆に古くささを感じさせます。しかも内容が人生とか生とかについてばかりなので、自己啓発系の文章みたいで退屈というよりも気持ち悪い。

 「いっぽう世界の中心では、すべてがモノトーンという誇り高きリズムで進んだ。古典主義的な町、垂直と水平の見事な木が育っていく。

 世界は高価な素材のような灰色の冷たさで縁までびっしり一杯になった。そして生は、情熱という発酵しきった赤茶色の雑草なしに、憧れという鈍く乳白色の雑草もなしに展開していた。そして、この生にこれ以上ぴったりくる雛形は、矩形のかたち以外になかった。

 うん、厨二です。

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