どちらかというと海外文学の方が好きなので、和物篇はどうかなと思っていたのだけれど、著者の文章や切り口や観点がいいのであって、扱われている対象はまったく関係なかった。対象書籍の魅力を切り取るのがほんとうに上手い。
ゲームの悪影響の有無を精神科医が論じた『脳内汚染』など、現物を読んでいないからその是非はわからないけれど、この手のものにしては感情的ではない主張自体が新鮮だし、脳内麻薬と結びつけているのが説得力がありそう(飽くまで「ありげ」だけど)。
『論語の新しい読み方』にしても、本来であればずっと昔に当然やっていて然るべきだったことなんだけれど、めちゃくちゃ新鮮な視点です。
ほかにも、「第二次世界大戦」というネーミングについてのみうらじゅんの一言など、へえと思わされることばかりでした。
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『鹿島茂の書評大全 和物篇』
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