『ビッグ・ボウの殺人』イズレイル・ザングウィル/吉田誠一訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★☆☆

 『The Big Bow Mystery』Israel Zangwill,1891年。

 新聞の投書にヘンな推理がいっぱい載ったり、その投書のなかにはモルグ街に敬意を表して猿が容疑者になっているものもあったり、重婚ライターの奥さん二人が刑事と元刑事それぞれの家で女中をしていて情報が筒抜けだったりと、ユーモア色が強い作品です。

 中盤がもたもたしますが、動機といい真相が明らかになるきっかけといい、(有名な古典なので)犯人やトリックを知ってはいても、ちょっとびっくりしました。

 12月初めのその朝、ロンドンのボウ地区で下宿屋を営むドラブランプ夫人は、いつもより遅れて目をさました。下宿人のモートレイク氏は労働運動指導のため、すでに出かけてしまったと見える。霧深い冬の朝だというのに。夫人はモートレイク氏の友人の下宿人を起こしに二階へ上った。ドアには鍵がかかり、いつまで経っても返事はなかった。それから数時間後、新聞売りの少年が威勢よく叫んでいた――ボウ地区で身の毛もよだつ自殺事件、博愛主義者、喉を掻っ切る! ポオの『モルグ街の殺人』の衣鉢をつぐ密室ミステリの古典的傑作。改訳決定版!(カバー裏あらすじより)
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  『ビッグ・ボウの殺人』
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