『闇の守り人』上橋菜穂子(新潮文庫)★★★★☆

 故郷に帰ってきたバルサが、ジグロと自分が故郷を離れなくてはならなくなった原因と、ついに対峙します。

 『ネムキ』で連載されている結布による漫画化を何回か読んでいましたが、ほぼ原作通りのようです。……というか、一回読んでいるはずなのに完全に忘れていました。

 第一作『精霊の守り人』は守るべき存在を守るヒーローもののアクション&ファンタジーだったのに対し、本書ではバルサ自身の身とバルサの故郷が対象となっていました。

 ヒョウルとルイシャの正体、ログサム王とユグロの陰謀の全容、因縁の回収……と、『精霊』『闇』で一セットの物語、という感じでした。

 前作と比べれば冒険要素は薄いものの、ティティ・ランという小人や洞窟の移動などといった要素が、バルサや傍系の少年カッサたちの不器用な生きっぷりと合わさり、共感や応援といった感情移入の度合いは前作以上でした。

 女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは――。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。(カバーあらすじ)
 

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