「オリエンテーション」ダニエル・オロズコ『居心地の悪い部屋』岸本佐知子編訳(河出文庫)

オリエンテーション」ダニエル・オロズコ/岸本佐知子(Orientation,Daniel Orozco,1995)
 ――あちらに並んでいるのが個室で、こちら側がブースです。あなたの電話はこれです。決して出てはいけません。電話の応対はすべて自動応答システムがやります。左のブースのラッセル・ナッシュは、右のブースのアマンダ・ピアースに恋しています。アマンダ・ピアースには六歳になる自閉症の息子がいて、あそこの個室のアルバートボッシュに恋しています。

 岸本佐知子による編訳書『居心地の悪い部屋』文庫版にのみ、ジュディ・バドニッツ「来訪者」に代わって収録された作品です。カフカ的な悪ふざけのような内容かと思っていたら、この会社では保険会社という具体的な仕事をしているらしいことがわかり、それが却って奇妙な印象を与えるのだから、不思議なものです。
 

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 居心地の悪い部屋 


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