「獲物」ピーター・フレミング

 宮部みゆき編『贈る物語 Terror』の一編。「猿の手」「ゴーストハント」「人狼」は既読だったので、「オレンジは〜」に次いで二編目ということになる。

 フレミングという作家は初めてだったけど、「あきれるくらいゆっくり、丹念に読んでいるのか、それともぜんぜん読まないか、どちらかでしたね。ぼくの知るかぎり、第一巻を十一年も手にしていましたからね」というフレーズには見覚え(聞き覚え)がある。どこで聞いたんだろう?

 ミヤベさんが書いているとおり、モンスター御三家と言えばドラキュラ、フランケンの怪物、狼男です。中学生くらいのころ、御三家の作品を読破してやろうと思ったものでした。

 ところが作家のフィクションであるドラキュラやフランケンとは違い、狼男には原作というものが存在しない。ものすごくがっかりしたのを覚えています。やっと探し当てた「人狼」も、「満月を見ると変身する」という属性を与えられた〈狼男〉の話ではありませんでした。

 さて、今回のこの話も満月を見て変身する〈狼男〉の話ではありません。が――。だいたいドラキュラってコウモリだけじゃなく狼にも変身できるんですよ。それじゃあ狼男の立場がないじゃないですか。ならいっそのこと、こうした〈人狼〉の話の方が、〈狼男〉の話よりも面白いというものです。
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贈る物語 Terror
宮部 みゆき編
光文社 (2002.11)
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