『アララテのアプルビイ』マイクル・イネス/今本渉訳(河出ミステリー)★★★★☆

 (≧∀≦*)(≧∀≦*)(≧∀≦*)ノ彡

 いきなりすごい展開だな、これは。孤島に漂流させるにしてももうちょっとやりようがあるだろうに。クリスティみたいな筆致のまんまで展開だけこういうことをするから、イギリスは愉快だ。

 ――と思ったら、これは伏線(というか真相?)だったのか? 無茶苦茶なように見えて、意外とまともな話だったぞ。

 いや、いうほどヘンな話じゃないよ。ちゃんと楽しめる。少なくとも謎解きものとしての辻褄は合っている。優れているかどうかは別にして。

 うん。やっぱり読者としての感覚も麻痺しちゃってるんだよね。新本格からこっちSFミステリとか異世界ミステリとかバカミスとかを山ほど読んでいると、このくらい軽い軽い(^з^)〜♪。無茶な展開にあっけにとられることもなく、むしろ存分に楽しめてしまうのでした。

 比較するのもどうかと思うがクリストファー・ムーア『アルアル島の大冒険』よりはこっちの笑いの方が好み。すっごくお馬鹿な展開の連続なのに(例えば原住民に襲われたとき、原住民から見れば自分たちも未知の存在なのだという理屈で、妙な儀式を始めて原住民を追っ払ったりする)、そこはイギリスのこと、地の文にはお馬鹿のそぶりもかいま見せない。

 『Appleby on Ararat』Michael Innes,1941年。

 南太平洋を航行中、Uボートの攻撃を受けた客船の生き残り六人は、ジャングルの密生する孤島に漂着、『ロビンソン・クルーソー』ばりの無人島生活が始まったが、ある日、後頭部を殴打された死体が入江の岩場で発見される。はたして一行の中に殺人者が?……それとも……? アプルビイ警部が南海の孤島で遭遇した奇妙な事件。奇抜な設定、意表つくオフビートな展開はイネス・ミステリの真骨頂。(帯あらすじより)
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