『女王様と私』歌野晶午(角川文庫)★★★☆☆

 いまいちかなあ。

 オタクである語り手が街で「女王様」に声をかけられて――という序盤からちょこちょこ小さなどんでん返しが仕掛けられていてさすがです。そうはいっても語り手は正真正銘のオタクで引きこもりの変態、こんな調子でこの先も続けられるのかぁ……とうんざりしかけたところで事件発生。一気にミステリ度が高くなりました。

 ですが――読む順番が悪かったのかなあ。たしかにすごい仕掛けだし、わかっていても読ませるし、語り手がキモオタであることが仕掛けと密接に関わっていて完成度が高いんだけど、まったくびっくりできませんでした。『世界の終わり』『女王様』って続けて読むもんじゃないです。

 ところでカバーイラストは帯がある方が(口が隠れている方が)よいです。

 真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも「引きこもり」ってやつじゃ ない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてるし。今日も可愛い妹と楽しいデートの予定だったんだ。あの「女王様」に出逢うまでは……。数馬にとって、彼女との出逢いがめくるめく悪夢への第一歩だったのだ。――まったく先が読めない展開。個性的で謎めいた登場人物。戦慄的リーダビリティが脳を刺激する、未曾有の衝撃サスペンス!(カバー裏あらすじより)
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