『Gjenerali i ushtrisë së vdekur』Ismail Kadare,1963年。
戦死した兵士たちの遺骨を回収して祖国に持ち帰るために、将軍と司祭はアルバニアにやって来た。記録や証言をもとに、掘っては名簿と認識票を照らし合わせ、掘っては照らし合わせ……。同じ任務に就いている他国の中将、地元民が証言する娼婦の死、脱走兵の日記、土のなかの細菌や微生物、そして行方不明のZ大佐……行く先々で掘り起こされるのは――。
戦場を経験していない将軍が、調査を通じて目の当たりにする戦争の真実。さらにはところどころで挿入される元兵士の体験談。皮肉なことに、何人かの体験談の話者も日記の書き手も、将軍がよるべとする認識票と身元確認なんて屁とも思っていません。遅々として進まない作業に加えて、望まれているわけではないかもしれないという無意味さが将軍を襲います。
ところどころに「番号のない章」という意味深な名前の章が挟まっています。とくに他と区別されるべきいわれも……?とも思うのですが、一番初めの「番号のない章」を読むと、将軍たちが遠ざかったことを「彼らの苛立った声は、足音と共に遠ざかっていった。」とありました。ということは、この章の視点は将軍ではないのでしょうか? でもほかの「番号のない章」はそういうことはありません。将軍の内的風景や夢というわけでも……?
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