『GOSICK IV―ゴシック・愚者を代弁せよ―』桜庭一樹(富士見ミステリー文庫)★★★★☆

 推理ものとしては第一作のような正統派に戻って何より。いくつかの手がかりが結びつけられ怪談と奇術と錬金術がうまくシンクロする真相も、伏線の回収の手際が上手いので引き立っています。特に怪談はさり気ないだけに、仮面の真相と結びつけられたときには軽く「おお!」と満足の溜息がでました。

 シリーズ全体を通した事実も徐々に明らかにされつつあります。

 お爺ちゃんの名言。「きっと幽霊も飽きちまうんだよ。呪い続けるなんて、無理だ」

 夏の息吹が満ち始める山間の学園の奥の奥。高い塔の上も、濃い緑に覆われていた。さらに、その一角には、極彩色の宝石のような、甘いお菓子が絨毯のように敷き詰められ――中心に黄金色の姫・ヴィクトリカは静かに座っていた。時が刻む歯車の音に、静かに耳を傾けながら。甘いお菓子を頬張りながら、残酷なる人の歴史を――混沌を彼女の〈知恵の泉〉が弄ぶ。それが、彼女に課せられた命だった……。聖マルグリット学園に存在するもうひとつの塔――時計塔で起きた密室殺人。それを追う久城一弥とヴィクトリカ。それは、かつてソヴュールに君臨した謎の錬金術師・リヴァイアサンと関係しているらしいのだが!? アブリルと久城、そしてヴィクトリカ。それぞれの想いが交錯し、徐々に学園に隠された謎が明らかになる……。歴史の裏に受け継がれる血塗られた運命とは?ゴシック・ミステリー第四弾!(カバー袖あらすじより)

 
 『GOSICK IV 愚者を代弁せよ』


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