『誰の死体?』ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽莢子訳(創元推理文庫)★★★☆☆

 『Whose Body?』Dorothy L. Sayers,1923年。

 記念すべきピーター卿もの第一作。

 すでにバンターは有能で、ピーター卿には引用癖があり、自他共に認めるディレッタント探偵にして、シェルショックという暗い影を負っている……というキャラクターは確立されていました。ハリエットがいないと一本調子だというのは否めませんが。

 浴室に鼻眼鏡しかつけていない男の死体が現れた――という奇天烈な事件の動機や経緯などは中盤でほぼ明らかになってしまい、事件自体も一つしか起こらないため、かなり物足りない出来でした。

 実直な建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が出現した。場所柄男は素っ裸で、身につけているものといえば、金縁の鼻眼鏡と金鎖のみ。いったいこれは誰の死体なのか? 卓抜した謎の魅力とウイットに富む会話、そして、この一作が初登場となる貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿。クリスティと並ぶミステリの女王がモダンなセンスを駆使して贈る会心の長編第一作。(カバーあらすじより)

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