★「近代文学探訪第一回 北村薫 夏目漱石『門』」
第一回はせっかく北村薫なのに、インタビュー記事なので物足りない。第一回でいきなり『門』というところがさすがというか何というかです。
◆「WEBで楽しむ新しい“本”の展覧会、開催!」
「ブログ感覚でWEBの本がつくれる」BCCKS(ブックス)という今秋予定のサービスらしい。面白そうなので http://bccks.jp/ を覗いてみた。期待とはまったく違った_| ̄|○
これだけのものを「ブログ感覚で」作れるというのが魅力なのかもしれないけれど、〈本は読むものである〉という基本的なコンセプトが抜け落ちているような気がする。〈本というデザイン〉にこだわったメディアなのでしょう。少なくともわたしの環境では、横スクロールしないと全画面を見ることができない。〈読む本〉としてはこれほどストレスのたまるものはない。PDFみたいに「横幅に合わせる」ボタンがあればいいのに。
あと、デザインに凝っているからなのか、プラグインかなんかのせいなのか、やはり平均的なブログよりはページが重い。ファイルサイズゆえの重さならどうにかしようもあるけれど、プラグインに依存するものであれば、これまた〈読む本〉としては致命的なストレスが慢性的に溜まってしまう。
ただし、これまでなかった方向性の企画として評価したいところです。使いやすさが向上すればアリかな? 追記。どうやら文字データも画像に変換してしまうらしい。何かダメっぽい。
★「池澤直樹=個人編集「世界文学全集」ついに刊行」
全巻ラインナップと、池澤直樹メールインタビューです。けっこう話題になってる(メディアが話題にしている?)みたいですけど、どうなんでしょう? わたしとしては、好きな作家や気になる本の新訳や初訳だけでいいかなあ、という印象です。「個人編集」であるからこそ、池澤直樹“が絶対にはずせない”と選んだ作品ということに意味があるのでしょうけれど。それでもやはり、すでに文庫でお馴染みのサガンやカルヴィーノやカフカの旧訳を入れられてもなあ……という感じです。
★「北村薫インタビュー『北村薫のミステリびっくり箱』『1950年のバックトス』
『びっくり箱』は乱歩さん他のCD付という微妙に豪華本。例えば評論家がこういう本を作っても、“資料としては面白い”本でしかなかったと思うけど、北村薫が作ることで読み物としても面白い作品になっているんじゃないかと思います。『1950年』の方は、ノンシリーズの掌編がようやく一冊にまとまった、という感じですね。
◆「『アウトドア般若心経』みうらじゅんインタビュー」
スライドショーのみうらじゅんらしい、街角の文字を写真に撮って般若心経を構成してしまうという企画(^^)。きっかけが駐車場の「空アリ」「空ナシ」を見て「ものすごい仏教的なことが書いてあることに、ある日突然、気づいてしまった(笑)」というのがまた。
◆「桜庭一樹インタビュー『私の男』
著者近況に書かれた「最近気になるのは『20代の青年と10代の少女の魂の近さ』。嫌いなものは『ちやほやされることに慣れているイケメン・マインド』」という物の言い様が桜庭節ですね。本文よりそっちの方が面白かった。
★「先生、ここがわかりません!」岡野宏文×豊崎由美の中3国語再入門」第1回「現代文学」編(前編)
お二人の連載が戻って来ました。久々だからなのか、教科書が相手だからなのか、何だか、いつも以上にむちゃくちゃやってる気がします(^_^)。というか、やっぱり教科書で出会ってしまっては、今の子にとっては村上春樹も「つまらない作家」になってしまってるのかな。。。
◆別冊ダ・ヴィンチ『コミックエッセイ劇場』
「ダーリンの頭ン中」「りさ’ずばー」瀬戸口みづき、グレゴリ青山ほか、いつもの面々です。伊藤理佐は、ノロケにならないところがさすがですねー。
◆「テレプシコーラ 第2部 第1回」山岸涼子
あ。第二部だ。大きくなってる。
★「山白朝子短篇集『死者のための音楽』いよいよ刊行!」
というわけで、『幽』連載の短篇+書き下ろし一篇が刊行中です。山白朝子インタビューも掲載。『幽』8号から新シリーズ連載とのこと。東編集長・千街晶之・豊崎由美・三村美衣による寄稿・談話。
◆「北尾トロのBookgle」名作読破
きりのいいところまで、じゃない。というのがホント意外でした。そういうものなんですねえ。
◆「この本にひとめ惚れ」
今月のひとめ惚れ大賞は梅佳代『男子』(写真集)。男子は「バカ」で「無敵」という視点だけでもう最高です(^_^)。
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『ダ・ヴィンチ』2007年12月号
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