『エデンの黒い牙』ジャック・ウィリアムスン/野村芳夫訳(創元推理文庫)★★★☆☆

 『Darker Than You Think』Jack Williamson,1948年。

 意外と安っぽいノリの話で驚いた。

 幻想文学とかホラーというより、ハリウッド映画や海外ドラマのノヴェライズみたいだった。

 面白くはあるけれど、作品としては「傑作!」などと騒ぎ立てるほどのものではない。リアルなデンパが祭り上げたから問題作扱いされて、カルト作みたいになってるけれど、ノリはB級です。

 主人公に主体性がないのでサスペンスがないというか、何を考えてるんだかわからない登場人物が「人殺し→なんだ夢か」の繰り返しなので緊迫感はない。それでも変身する動物や殺し方が毎回違うので、ヒーローもののお約束を期待するみたいな調子で飽きずに楽しめる。基本的に主人公がアホです。

 カルトが信じたとんでも擬似科学は、まあ信じる方がどうかしてるのであって別にどうってことはない。シリアスにハラハラドキドキというよりは、バカホラーぶりにニヤニヤしながら読む感じでしょうか。

 それにしても「流線形の電気冷蔵庫を連想させる」怜悧な美人ってのはどういう美人なのでしょう?

 人狼伝説の権威モンドリック博士はゴビ砂漠で何を発見したか? だが帰国会見の席上、新聞記者ウィルの目の前で、彼は怪死を遂げる。居合わせた赤毛の美女エープリルの不審な行動。疑惑を抱きながらも彼女に心惹かれてゆくウィル。やがて彼は、救い主“夜の子”の降臨を待ち望む人狼族の存在を知る……。カルト教団聖典にもなった幻想文学史最も危険な傑作!(裏表紙解説より)
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