『ミステリー・ウォーク(上・下)』ロバート・R・マキャモン/山田和子訳(創元推理文庫)★★★★☆


 〈幻の傑作ダーク・ファンタジー〉なんて書かれてあるのを見て、レイ・ブラッドベリの『何かが道をやってくる』みたいのを想像して期待してたのですが、意外とモダン・ホラーでした。

 マキャモンを読んで、モダン・ホラーだったからがっかりしたというのが、そもそも筋違いというものなのですが。

 だけどこの際ダーク・ファンタジーでもモダン・ホラーでもかまいません。

 ことさら「ミステリー《神秘の》」なんてつけることもない。主人公が「道を歩む《ウォーク》」成長物語の佳品です。家族あり、恋あり、宗教あり、悪の組織(?)あり、友情あり、孤独あり、そうした階段を一歩一歩のぼりつつ、最後に〈悪〉との対決が待っていました。そこが一つのゴール。二階の踊り場。眼前にはさらなる上へと続く階段が(きっと)待ち受けています。

 そんなふうに前向きにすがすがしくなれる青春ホラーでした

 ビリー・クリークモアが母から受け継いだのは、死者の魂を鎮める能力だった。だが、人々は彼に冷たく、疑いに満ちた目を向ける。そんなある日、伝道者ファルコナーが、治癒の奇蹟を起こす息子ウェインを連れて町にやって来る。だが、ビリーが伝道集会で見たものは……? 『少年時代』『遙か南へ』を経て、久々の長編『魔女は夜ささやく』に至るマキャモン文学の源流、待望の復活。
---------------

ミステリー・ウォーク 上
ロバート・R.マキャモン著 / 山田和子
東京創元社 (2003.10)
ISBN : 4488558011
価格 : ¥903
amazon.co.jp amazon.co.jp で詳細を見る。

ミステリー・ウォーク 下
ロバート・R.マキャモン著 / 山田和子
東京創元社 (2003.10)
ISBN : 448855802X
価格 : ¥903
amazon.co.jp amazon.co.jp で詳細を見る。


防犯カメラ