『ROM叢書4 失われたミステリ史』加瀬義雄 as ROM

 英米以外のクラシック・ミステリ紹介。戦前には英米中心じゃなかったという指摘を読むと、そういう時代もあったのだと羨ましかったなあ。

 紹介されていた作品のなかでは、『カッレ君』でもお馴染み(?)アスビョーン・クラーグ(アスビュルン・クラグ)ものの作者、スヴェン・エルヴェスタ(Sven Elvestad)の『鉄の馬車(Järnvagnen)』が、あらすじだけでも怒濤のサービス精神で、かなり面白そうでした。英訳はないみたいだけど、なぜか漫画化されてるようです。→『The Iron Wagon』。本書の紹介文から類推するに(というかamazonのレビューはネタバレしてるような)、漫画化に馴染まないような気もするのですが……?

 ドイツのクラシック・ミステリについては米国人による研究書もあるようなので、これからどんどん紹介されてゆくことを期待したいものです。パオル・ローゼンハイン(Paul Rosenhayn)の Joe Jenkins ものが、ホームズっぽくて楽しそう。戦前には邦訳もあった著者だそうです。英訳があるのならいずれ邦訳短篇集も期待できそうかな、なんて希望的観測を。

 他人事ゆえの勝手な希望としては、著者の「言語的限界」から取り上げられなかった西露亜阿にスポットを当てた続編があってほしい。(※わたしも「中国のシャーロック・ホームズ」霍桑ものについてはいくつか読んで、個人的に翻訳らしきものも試みてるのですが……)。

  『ROM叢書4 失われたミステリ史』
 詳しくはROMホームページで。


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