『ネムキ』2010年5月号

『ななめの音楽』#7「Fairy Tale - Airy Veil川原由美子 ★★★★★
 今回は長めです。まな希がアイドルとしての仕事でホイールウォッチングをするエピソード、光子が眠っているあいだにこゆるが「雲の上で眠りつづけるお姫さまと下界にただようその黒く長い髪」についてのお伽噺の絵を描くエピソード、光子とお菓子のエピソード、まな希と整備士の会話、から成ります。光子さんにも苦手なものがあったんだ(^_^;、クールな光子さんの人間らしい一面が見られます。こゆるのお伽噺は、どこかにありそうな挿話のどこにもないような物語。中国と西洋と、民話とSFとが一体になったような不思議な空間が広がっています。
 

「謎のあの店」松本英子
 今回は変なお店というのではなく、風変わりだけどちゃんとしたお店でした。「おからのドーナツ」と「トリュフチョコ」を売っている豆腐屋さん。フツーに食べてみたいよね。
 

百鬼夜行抄』「別室の客」今市子 ★★★★☆
 いつもとはちょっと趣が違います。

 小坂井マリの身近では不幸なことばかりが起きる。「たまたまあなた一人が別の部屋にいたおかげで、運良く……」。マリは子どものころのことを思い出していた。夜中に一人で眠っていると、人数が多くて連れと同じ別室に入れないのでいさせてほしいと、誰かが部屋に入って来たのだった……。自宅で見つかった大量のお札。マリは霊能者を頼って、律のところにたどり着きますが――。

 ノンシリーズものとしても通用するような、異色作。基本は第一話と一緒で、ある怪異にお祖父ちゃんの失敗が絡んでいた、という話なのですが、レギュラー陣はほとんど登場せず、律さえも特別出演的な役割に甘んじています。もともと妖怪ハンター的な話ではないシリーズですが、今回はいつにも増してそんなところがありました。
 

『悪霊退散大作戦』「花咲かジジイの屋形」魚住かおる
 珍しく(?)最初から最後までまったくいいところなしのみちるでした。
 

『異端文書』LXXIII「鬼桜」BELNE
 鬼のビジュアルが好きです。
 

『未知庵の三時のお水』「カナブン」
 これまでにないパターンの顔をした男の子が登場。普通なのがかえって違和感を感じる(^_^;
 

「がらくた屋」伊野りゑ ★★★★☆
 『コミックシンカン』に「ボタン」が掲載されていた人。こういうごちゃごちゃした画面の方がよさが出ますね。アンバランスな絵と普通の絵が同じ画面に同居して違和感がないどころか、むしろしっくりきてます。「がらくた屋」に男の子が持ち込んだものは、思いを打ち明けられずに持ち続けているラブレター、陸上部の女の子が持ち込んだのは病気になって走れない足。内容はちょっと陳腐でしたが、「ボタン」と比べると格段に絵が面白いので、何度か読み返しても飽きません。
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  『ネムキ』2010年5月号
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