『第七女子会彷徨 4』『見かけの二重星』『ネムキ 限定版』『おおきく振りかぶって 17』『バガタウェイ 6』


第七女子会彷徨(4)』つばな(徳間書店RYU COMICS)

 通常版と限定版の同時発売。限定版には書き下ろし冊子『ゴーストライター』付き。デジタル天国を扱ったシリアスな作品。

「第31話 生き人形」は、高木さんの持っているお菊人形。妖精に続いてまた高木さんの特殊能力が。

「第32話 山のお寺の鐘が鳴る」は、清水くんの話。ボケボケな金やんと清水くんのつっこみが見られます。

「第33話・34話 自己像幻視」には、どこか変な金やんとどこか変な高木さんが登場し、コマが番号で区切られてます。宇宙人がキモカワイイ。金やんのお腹の鳴る音が可愛すぎます。あるいは高木さんのケータイ着信音が変なのか。

「第35話 魂の在り処」はデジタル天国で会話する坪井さんと飯島くん(父)の話。

「第36話 悠久の百円貯金」は、非日常な日常マンガである本書には珍しく、本当に日常な話。しんみりとなりそうでしんみりさせない100円貯金箱の用いられ方。

「第37話 共有リング」。友だちの感覚を共有できるリング。金やんと高木さんの友達選定にまつわる事情が明かされます。

「第38話 似て非なるもの」。道路に落書きしていた女の子、再登場。

 七女にはなぜか単行本未収録の挿話が一話あるので、それが掲載されている『コミックリュウ』2009年9月号もついでに購入。そんな「第13話 夏のまぼろし」は、現実とちょっとだけズレたまぼろしの世界に迷い込んでしまった金やんたち。アグレッシブな金やんは珍しい。
 

『見かけの二重星』つばな(講談社KCDX)

 「天才」科学者の物質移動実験に付き合わされて二つに分裂してしまった綾子。目が覚めて隣に自分がいるのを見たときには、死んでしまったお姉ちゃんかと思ってどきっとした。ご飯も学校も憧れの先輩も二人で一つ。もとに戻ることは出来るのか……。

 『七女』同様SF漫画。オリジナルが存在しなくなったあとの複製は、意識なのか魂なのか本人なのか。過去に干渉できるのは器物だけで複製が干渉できないのならそれは……。あるいは全身移植と同じではないのか。デジタル天国にも通ずるような設定ですが、制度化されているわけではなく事故の結果なので、登場人物たちも試行錯誤しています。『七女』限定版の「ゴーストライター」にはデジタル天国に反発する人たちが登場していました。
 

ネムキ Limited Edition』

 震災支援のためにネムキ作家陣が描き下ろした特別小冊子。みんな応援イラストなどでお茶を濁さず、ちゃんと作品を寄稿してくれています。

観用少女 涼華」川原由美子 『観用少女』描き下ろし4ページ。完結している漫画の番外編は嬉しい。観用少女観用少女によって目覚めさせられる――という、このままふくらませて短篇にしても面白そうなアイデアでした。

「魅入られた双一」伊藤潤二 「トミエ」に魅入られた弟を描いた4ページ。4ページでホラーを描くなんて無茶ぶりに近いと思うのですが、よくぞ答えてくれました。

「裏毒姫」三原ミツカヅ 本篇は休載中ですが、セルフ・パロディ4コマ3篇。

百鬼夜行抄 星の卵」今市子 「螢」を捕まえて妖怪仲間と鳴き合わせに出かける尾白と尾黒。つまり鳴っているのは金平糖? ではなく逃がしてもらえた人魂の鳴き声? 4ページ。

「りんたとさじ」オガツカヅオ 奇怪な事件にばかり遭遇してしまう本篇ではしたくても出来ないデートを4ページたっぷり(?)と。あのマスターも特別出演。

「未知庵の三時のお水」 「先生」登場の1ページ。
 

おおきく振りかぶって(17)』ひぐちアサ講談社アフタヌーンKC)

 ずっと武蔵野第一の試合だったので、モモカンをひさしぶりに見た感じがする。三橋が阿部に余計なことを言って怒らすものの、でも榛名の投球は三橋の懸念する方向に行きかけているような展開を予感させつつ、次巻に。第18巻は11月発売予定。
 

バガタウェイ(6)』古日向ひろは(マッグガーデン BLADE COMICS)

 第2巻〜第6巻までずっと試合ばかりでしたが、ようやく終了。マイナー競技のルールを読者に知ってもらうためには、試合の流れに沿ってその都度ルールを説明する、というのは有効なのかもしれない。とはいえ技術的なことも練習も一切描かれずに、才能とやる気だけで青春されるのはつらい。夏合宿に期待。

     


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