『文学全集を立ちあげる』丸谷才一・鹿島茂・三浦雅士(文春文庫)★★★☆☆

 この手の企画って、たいていはページ数なんかの関係で、ほとんどタイトルを挙げるだけで終わっちゃったりするものなのだけれど、世界文学編に関しては残念ながら本書もそんな感じでした。まあ世界文学の場合はほぼ評価も定まっちゃってて、オリジナリティを出せるような選択肢自体があまりないってこともあるのかもしれませんが。

 その点、日本編は分量的にも世界編のほぼ二倍、内容的にもかなり言いたい放題で面白く、日本文学よりも海外文学の方が好きな自分としては、ちょっと微妙な読後感でした。

 だけどこうしてみると、日本文学って明治で完全に断絶しちゃってるんですね。。。はじめのうちはいくらなんでも古典文学を過剰に評価しすぎなのでは、と思っていたんですが、少なくとも影響力という点でいえば、明治まではちゃんと地続きなんですよね。古典があって明治文学がある。だからまあ教養という意味では、古典文学が大事なのもわかるのですが。

 古典文学を作品名ではなく著者名で立てるというのは面白そうな試みです。三浦氏の草案にあった、紀貫之集(『土佐日記』著、『古今和歌集』編)というのは、目から鱗でした。なるほどなあ。

  


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