『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』18・19(アシェット)

ミステリーゾーン』18「群衆よさらば」「火星人は誰だ?」「無用な男」 第61話「沈黙の世界」・第62話「夢の世界」がなぜか未収録。吹替え版がない作品も今のところ収録されていないので、「完全オリジナル・シリーズ」という謳い文句が怪しい気がします。この第18号で第二シリーズ終了です。

「群衆よさらば」(The Mind and the Matter,1961.5.12,第63話)★★☆☆☆
 ――人間嫌いのビーチクラフトは人混みにうんざりしていた。人から薦められた本を読み、精神を統一すれば願いを叶えられるという助言にしたがい、人を消すことに成功した。だが一人きりに退屈し……。

 人嫌いが人を消してみたがやっぱりもとのままがいいと気づくコメディですが、一人きりの孤独や元通りがいいと気づくきっかけに工夫が見られず、少し退屈な作品でした。
 

「火星人は誰だ?」(Will the Real Martian Please Stand Up?,1961.5.26,第64話)★★★★☆
 ――空飛ぶ円盤が着陸したという通報を受けた捜査隊は、足跡をたどってレストランまでたどり着いた。そこにいたのは主人1人とバスの運転手1人と乗客の7人。だが運転手によると、乗客は6人だったという。

 疑心暗鬼が生むサスペンス。わずか二十分の作品内では本格的な「犯人」探しやパニックにこそなりませんが、二人連れが互いを疑い出したり、突然鳴り出すジュークボックスなど、随所に飽きさせない工夫がありました。宇宙人という存在を荒唐無稽に思わせない流れは見事だと思います。二段構えのオチもよかったです。よく見るとパッケージがネタバレなんですね、観る前にちゃんと見てなくてよかった。。。しかしホント作品に愛がない会社です。
 

「無用な男」(The Obsolete Man,1961.6.2,第65話)★★☆☆☆
 ――ロムニーワーズワースは無用の罪で裁かれようとしていた。本が禁止された世界で、自分は図書館員だと主張し、死刑を宣告された。希望の時間に希望の方法で死刑を執行されることになり、ワーズワースは死刑の公開を希望する。

 死刑を宣告されたワーズワースが、独裁者に対して一矢報いようとするものの、その方法と結末があまりにもご都合主義で、その後の展開も滑稽(独裁者が、ではなく、作品が)で、せっかくのテーマが死んでしまっています。
 

 第18号の冊子で紹介されているのは、小説家ジョージ・クレイトン・ジョンソン。第一シリーズ「顔を盗む男」「ある死刑囚」、第二シリーズ「八時間の奇蹟」、第三シリーズ「栄光の報酬」「死神の訪れ」「真夜中の遊戯」、第五シリーズ「命を刻む時計」の脚本家で、レイ・ブラッドベリリチャード・マシスンと交流があり、『オーシャンと11人の仲間』の原作者だそうです。
 
 

ミステリーゾーン』19「最後の二人」「到着」「生と死の世界」
 ここから第三シリーズです。

「最後の二人」(Two,1961.9.15,第66話)★★☆☆☆
 ――未来かもしれないし、地球でもないかもしれない場所。戦争から五年が経ち、荒廃した町で、一人の女と男が出会い、食べ物を奪い合った。だが争いのむなしさに気づき、意思の疎通を図ろうとするが、言葉は通じず……。

 ミステリー・ゾーンは第2シリーズ「キング・ナイン号帰還せず」「鏡の中の男」を始めとして、心理劇が拙く見てられません。言葉も通じず敵同士の反発し合っていた二人にいつしか愛が芽生えて……という話で、「プレクラスニイ」が象徴的で感動的な一言のはずなのでしょうが、まったく説得力がありませんでした。英語圏とロシア語圏の二人というのが当時は意味があったのかもしれませんが。。。
 

「到着」(The Arrival,1961.9.22,第67話)★★★★★
 ――空港に到着した旅客機からは、乗員も乗客も消えていた。連邦航空局調査官シェックリーが捜査に乗り出すが、事件から六時間経っても、乗客の家族から問い合わせはない。シェックリーは乗客名簿に見覚えがあるような気がし出した。

 謎が謎を呼ぶその吸引力、嘘を嘘として最後までつきとおそうとする痛快さ、推理を証明しようとする手段の目をふさぎたくなるようなスリル、真実が証明されたと思った直後に訪れる喪失感、明らかにされた真実と敏腕調査官ゆえの悲愴感と絶望感、詰め込み過ぎといってもいいほどの内容を、薄めることなく凝縮していました。
 

「生と死の世界」(The Shelter,1961.9.29,第68話)★★★★☆
 ――正体不明の飛行物体が発見されたため、警戒警報が発令された。防空壕に避難するようラジオが伝えた。落ち着いて準備を始める父ビル・ストックトンと息子ポールだったが、母グレイスはパニックになりかけていた。やがて防空壕を持たない人々が、都合よく防空壕に入れてくれと押しかけ始めた。

 サーリングの吹替え声優が変わりました。まともに考えれば、小さな防空壕で全員死ぬより、防空壕のなかの人間だけが助かる方が論理的(というより唯一の現実)なのですが、そんなことすらわからないのがパニックというものなのでしょう。パニックを起こす身勝手な隣人の醜さに反吐が出そうです。集団ヒステリーの恐ろしさを描いた「疑惑」とは違い、利己的なエゴの寄せ集まりだというのが厭味を倍加させています。
 

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