『ミステリー・ゾーン』32・33(アシェット)

ミステリーゾーン』32「海底の墳墓」「四角い墓場」

「海底の墳墓」(The Thirty Fathom Grave,1963.1.10,ep104)★★★☆☆
 ――駆逐艦で航海中、海底からハンマーで金属を叩くような音が聞こえてきた。潜水艦だろうが、なぜ音を立てるのか……。潜って確かめることにした。だがマクロードが潜ってみても潜水艦から応答はなく、本部に問い合わせてもその海域に事故の報告はない。船体番号によれば20年前の船だ。同じころ甲板長のベルは、戦時中に死んだ仲間の幻覚を見始めた……。

 ベルが潜水艦の生き残りだというのは明白で、そこを引っ張られてもしょうがないので、音の正体が何なのかが気になりながら観ていました。一時間待ったわりには小粒ですがホラーの常道です。最後に口にする艦長のわざとらしい反戦メッセージ(戦争は肉体だけでなく精神も……云々)はしらけますが、ベルを一喝する艦長や救助に素早く取り組む乗組員はかっこよかったです。
 

「四角い墓場」(Steel,1963.10.4,ep122)★★★★☆
 ――十年後の世界では人間の拳闘は禁止されていた。マネージャーのケリーはロボットの拳闘士マクソーをつれて、修理工のポールにもう限界だと止められながらも、試合に臨もうとする。だがポンコツのマクソーはとうとう壊れてしまう。ケリーはマクソーの代わりに試合に出ることに……。

 リチャード・マシスン原作・脚本。数年前『リアル・スティール』のタイトルで映画化もされました。こうして映像で見てみると、ロボットをロボットっぽく描いているがために、ケリーの人間らしさが浮いてしまうという結果になってしまいました。もともと肝がSF的なところではなく、人間ドラマにある作品なので、気にしなければ問題ないのですが。主役のリー・マーヴィンがいい顔してます。
 

ミステリーゾーン』33「物云わぬ少女」「二万フィートの戦慄」

「物云わぬ少女」(Mute,1963.1.31,ep107)★★★☆☆
 ――心霊集会に出席していたニールセン教授の家が火事になった。助け出された娘のイルサは相当ショックを受けているようだったが、かすり傷ひとつなかった。焼け死んだ両親に代わり、イルサは保安官が引き取ったが、イルサはまったく口を利こうとはしなかった。

 リチャード・マシスン「声なき叫び」原作・脚本。ショックを受けて目を見開いている場面こそ迫力がありましたが、心の声を実際に声に出してしまう演出が興醒めでした。挙句の果てには、霊媒にするために口を利かずに育てられたとか、「あたしが必ず、あの子を倒して(治して?)みせるわ」とか、ここまでB級くさいと、逆に面白かったです。伏線も何もなくいい話で終わってしまったのには。原作は読んだはずですが覚えてません。こんな話でしたっけ。
 

「二万フィートの戦慄」(Nightmare at 20,000 Feet,1963.10.11,ep123)★★★★☆
 ――もう治った。再発するはずはない。飛行機に乗るのは久しぶりだから、ちょっと気になっただけだ。ボブ・ウィルソンは妻といっしょに飛行機に乗った。ふと窓の外を見ると、翼に何かがいる! エンジンを破壊しようとしているが、ボブ以外の乗客・乗員にはそれが見えないらしい。

 リチャード・マシスン原作・脚本。リメイクもされた有名な話ですが、グレムリンのようなモノではなく、まさか雪男みたいなヴィジュアルだとは予想だにしませんでした。それもチューバッカみたいなのではなくモコモコで。確かにアップのインパクトはありましたが。制作者は何を思ってデザインしたのでしょう(^^;。特に終盤になってからは、悪魔が何を起こすかという恐怖ではなく、ウィルソンが何をやらかすかというサスペンスがありました。まさにキチガイに刃物。そしてミステリー・ゾーンらしいオチ。悪魔のデザインがB級であることをあらかじめ頭に入れて覚悟しておけば、これはこれでなかなか楽しめる作品だったと思います。
 

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