『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』70・71(アシェット)

ミステリーゾーン』70「ストーリーテラー」「夜の歌」「マネキン」「遺失物」「世界の隣に」

ストーリーテラー(The Storyteller,1986.10.11,ep064)★★★★☆
 ――50年前の22歳のころ知り合いかもしれない男性を見つけたドロシーは、その男性を追いかけながら、姪にその話を話して聞かせた。赴任した学校にいたマイカ・フロストという生徒は、授業そっちのけでノートに何かを書きつけていた。実は曾祖父の祖父に物語を読み聞かせ、続きを気にならせることで生き長らえさせているのだという。

 こうした「物語る力」の描かれた作品には点数が甘くなりますね。ミステリーゾーンには珍しい回想形式ですが、不死を表現するには時間の流れが必要ですし、内容をうまく活かしたおしゃれなラストシーンを演出していました。
 

「夜の歌」(Nightsong,1986.10.11,ep065)★★★☆☆
 ――ラジオDJのアンディは、5年前にいなくなった元彼のレコードを聴けずにいた。だがようやくレコードを聴くと、目の前に元彼のサイモンが現れた。サイモンを許してやり直そうとするアンディだったが、サイモンはそれはできないと弁解する。

 レコードという小道具をうまく用いた作品で、悪い話ではないのですが、ちょっとトレンディ・ドラマっぽくて、ミステリーゾーンのカラーとは言い難いところもあります。サイモンの正体はわかりきっているのですが、ロマンチックな内容の最後に、サイモンの○○を見せてしまうなど、ちぐはぐなところもありました。
 

「マネキン」(The After Hours,1986.10.18,ep066)★★☆☆☆
 ――マーシャは閉店直前にデパートを訪れ、無理を言って入らせてもらった。アパートの娘に人形を買おうとしていたのだ。ところが閉店して誰もいないはずの店内には人がおり、店員は執拗にマーシャのことを質問するのだった。

 オリジナル第1シリーズep34「マネキン」のリメイクです。白黒の力&古いマネキンの不気味さには敵わなかったようで、オリジナルにあった恐怖とサスペンスが薄れてしまっています。
 

「遺失物」(Lost and Found,1986.10.18,ep067)★★★☆☆
 ――ジェニーが部屋に戻ってくると、ゴミ箱に捨てたはずのゴミがなくなっていた。机の上には知らない本が。そしてクローゼットからは人が現れ、ジェニーのことを「初代地球大統領」と呼んだ。

 ジョージ・R・R・マーティン脚本。フィリス・アイゼンシュタイン「夜の闖入者」原作。ショート・ショートです。本のタイトルにちゃんと意味があったんですね。ささやかながら洒落たオチです。このあと地球がいったいどうなってジェニーがそうなるのか、気になるところです。
 

「世界の隣に」(The World Next Door,1986.10.18,ep068)★★★☆☆
 ――バーニーは役に立たないものばかり作っている発明家だ。隣に別の世界があるのではないかという夢みたいなことも考えている。家に帰ってネズミ撃退ミサイルを誤射して壁に穴を開けてしまった。すると壁の向こうには……。

 ポール・リンチ監督。壁の向こうの世界は、いろいろなことが少しずつ違うパラレルワールドです。もし仮にこれがバーニーの夢の世界なのだとすれば、なるほどバーニーとは変な面白い発想をする人だと納得できました。子どもみたいに夢見る男の、ちょっと夢のある話でした。
 

ミステリーゾーン』71「キャリバンのおもちゃ」「囚人のピアノ」

「キャリバンのおもちゃ」(The Toys of Caliban,1986.12.4,ep069)★★★★☆
 ――障害のあるトビー少年には見たものを実体化する能力があった。こっそり実体化したドーナツを食べて腹痛を起こしたトビーを両親は病院に連れていった。トビーは退院後、病院で見た雑誌にあったものを実体化させてしまう。

 ジョージ・R・R・マーティン脚本。キャリバンとはシェイクスピア『あらし』に登場する怪物の名前です。オリジナル第3シリーズep073「子供の世界」も超能力少年の恐怖を描いた作品でしたが、この作品は恐怖と同時に悲しみに溢れていました。「まるで輝く夕日のよう」に「美しい色」とともに終わるラストシーンには言葉もありませんでした。
 

「囚人のピアノ」(The Convict's Piano,1986.12.11,ep070)★★★★☆
 ――元ピアニストのリックは恋人を殺した罪を着せられて刑務所に服役していた。刑務所内にあるピアノで古い曲を弾いていると、いつの間にか自分がその時代にいることに気づいた。そこでリックは、囚人仲間エディの事件があった年の曲を弾いてみることにした。

 刑務所内の暴力という殺伐とした雰囲気から、古き良き時代へのタイムトラベルというロマンチックな雰囲気へ。それにしてもピアノが時間移動装置であるのはともかく、まさかそういうからくりだとは思いませんでした。まさに「装置」を使った巧みな復讐だったと思います。捨てるものなど何もない恋人を殺された囚人という立場だからこそできる思い切った手段です。
 

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