『ネムキプラス Nemuki+』2018年3月号(朝日新聞出版)
「百鬼夜行抄(121)凍える檻 前編」今市子
――入院している律の前に、病院に住み着いている妖魔が取引を持ちかけてきた。律は取引を断ったが……。
しっかりとした自我のある妖魔って久しぶりに出てきたような……。
「未知庵のきなこ体操 ネックレス」未知庵
――万が一のときにその笛を吹けば……狭心症の発作歴がある男は、笛を購入して安心していた……。
猫のドヤ顔がたまりません(^^;
「ことなかれ(11)約束」オガツカヅオ・星野茂樹
――道ばたで封筒を拾った男は見知らぬ男たちに拉致された。死者と生者の結婚「冥婚」の相手に選ばれたのだという。
ストーリー自体もこれまでとはちょっと毛色が違いますが、お膳立てがすべて揃っている状態で物語が始まっていたというところもまた違いました。最初から最後までラヴストーリーでしたね。
『あさひなぐ』(25)こざき亜衣(小学館ビッグコミックス)
無言合宿〜やすこ先生再登場まで。今回は書き下ろしのおまけページがありません。代わりにケンコバと作者の対談が掲載されていますが、『スピリッツ』に掲載されていたものの再録でした。
『シンギュラリティは雲をつかむ』(2)園田俊樹(講談社アフタヌーンKC)
イサ峡谷の逆襲〜開発者登場まで。カバーイラストに描かれたヒツギ大佐が実は1コマしか登場してないことに、あとがき漫画を読んで初めて気づきました。1巻の初登場があまりにも衝撃的だったため、本篇には登場場面がなくても存在感があります。
「ふたごの鳥のトロイメライ」古牧広通
――ヒバリとツカサの兄妹が暮らす森に、軍艦が降りてきた。囚われていた水の巫女を助けて聞くと、軍艦には風の王が捕えられているという。
四季賞2017秋のコンテスト佳作。アフタヌーン公式サイト「モアイ」掲載。五十嵐大介が描いた『風の谷のナウシカ』みたいな話でした。
「PLANET」久慈進之助
――破壊の限りを尽くした戦争ロボットの一体が、十年後に目覚めると、すべては破壊され滅んでいた。人類の生き残りハナはそんな世界で花を育てようとしており、破壊ロボットは花作りを手伝うことになった。
四季賞2017秋のコンテスト佳作。ギャグなのか熱いだけなのか判然としない風変わりな作風でした。最後の「♪」は余計でした。ハナ“かもしれない”ではなくハナだと確定してしまうとつまらなくなってしまいます。
『good!アフタヌーン』2018年3月号
「Live For EVA」ふんころがし
――人間の少女エバとゾンビのくらげは「切断鬼《カッター》」と呼ばれるゾンビ狩りだった。狩りの目的はエバがゾンビになるためだ。
四季賞2017冬のコンテスト四季賞受賞作。ギャグとシリアスの塩梅が絶妙です。ゾンビゆえか無表情でクールな三白眼のくらげと、アクション担当で感情むき出しのエバも対比があっていいコンビでした。
『アフタヌーン』2018年4月号
「うちとわたし」藤田直樹
――工場勤務のサキは自分のことが嫌いだった。他人といると寂しかった。小学校の担任のように、ピアノを弾きたかった。けれど工場では怒鳴ってばかり。私は誰かになりたかった。
四季賞2017冬のコンテスト藤島康介特別賞受賞作。短いシーンの積み重ねや断片的なモノローグが、惑いつづけている状態を的確に表現しています。一方で、重要度に比して担任の存在感があまり伝わって来ませんでした。
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