『ダレカノセカイ』1、『ハコヅメ』1、『ひとりぼっちの地球侵略』14

『ダレカノセカイ』1 三都慎司(講談社アフタヌーンKC)
 ――高校生の加茂野ゆかりは、幼なじみの伊藤奈緒以外の他人に関心がなかった。卒業を前にしたある日、ビルの屋上から自分を見つめている少女を目撃する。立ちふさがる少女から逃げようとしたそのとき、ビル群のなかから白い巨人が現れた。少女アーニャによればあれはクリエイターが作り出す「実体」オルビスであり、セカイと同じ仮初めの存在だという。そしてカモノもクリエイターだった。

 四季賞受賞作「アレグロ」と読み切り「ハヤブサ」で本誌デビューを果たした著者による連載デビュー作です。読み切り二篇ではアクションではなく人間ドラマに長けていた印象でしたが、本書はかなり動きのある作品になっていました。そんな動きのあるシーンに躍動感があり、眺めているだけで楽しいタイプの漫画です。もともと表情やアングルは上手かったし、人がときおり見せる強がりや弱さの描き方は読み切りで実証済みなので、2巻以降がほんとうに楽しみです。作中では最小限の説明しかなされないので、単行本でまとめて読んだ方がわかりやすいと思います。
 

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』1 泰三子(講談社モーニングKC)
 元警察官による警官ギャグ漫画です。優秀な刑事だったのに後輩へのパワハラが原因で交番勤務に異動させられた藤部長と、安定を求めて公務員になった新人の川合、二人の掛け合いが絶妙でした。主役の二人にときどき刑事部のメンバーがからんできます。「藤先輩 やりすぎです」「今日は忙しくてさ ストレスは家に持ち帰らず発散しとこうと」「何すかその悪質なメンタルヘルス」。「『男性の考えてることがわからない』って相談したら 回答が全員『何も考えてない』か『食べることとエロいこと』の2つだけで 怖くないですか? 石槍持って猪追ってる人と一緒じゃないですか」「進化の過程の途中の人ね」。そんな漫画です。
 

『ひとりぼっちの地球侵略』14 小川麻衣子小学館ゲッサン少年サンデーコミックス
 大鳥先輩を連れ去ったオルベリオ王の狙いと、大鳥先輩の正体が判明します。そして「地球の王になる」とは言っていたけれど、まさか本当にそんなふうになるとは思いませんでした。帯によれば「最終章」ということで、もうすぐ大詰めです。

    


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