『冥路の果《めいろのはて》』佐々木俊介(佐々木ミステリ部)

 『繭の夏』著者による新作長篇。著者ホームページにて2019年6月12日からほぼ作中の日付と連動して途中まではほぼ毎日連載されていた作品です。徐々に更新は遅れ10月には途絶してしまいました。そして2020年1月5日に著者から正式に「中途半端でストップ」と宣言されてしまいます。

 当初は無題でしたが途中からこのタイトルになりました。完成していれば第6長篇になるはずでした。

 崖から転落して名も知らぬ島で目覚めた語り手は、死んだはずの高井の姿を目撃します。文才はあったがアイデアのなかった語り手と、アイデアはあったが文才のなかった高井。語り手は高井からアイデアを盗んで高井を殺したはずでした。幽霊なのか、それとも高井は生きていたのか。島には学校の寄宿舎があり、学院長はつねに仮面をつけていました。副学院長でもある学院長の妹が語り手の世話をしてくれました。ほかに教師はなく、生徒もいません。

 やがて語り手は高井の姿を追って地下室に降りると、そこにあるパソコンにはこれまで自分が書いてきた日記の内容が……そしてまだ書かれていない日付まで……。

 この「孤島日記」につづく「すみれ日記」の書き手は、高井の妹です。すみれ日記にもまた孤島日記の内容が登場し、入れ子構造はどんどん複雑になってゆきます。こうなってくると、超常的、精神異常的ではない現実的な解決がなされるのか心配になってきていたのですが……宙ぶらりんのまま未完となってしまいました。「投入する予定だったアイデアは新作長篇に投入する」ということなのでそちらを楽しみに待ちましょう。

 


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