「First Loves」Joyce Carol Oates

 「From "Jabberwocky" To "After Apple Picking"」という副題がついてます。"The
 Faith Of A Writer"(『一作家の信念』)というタイトルのエッセイ集より。紹介文を読むと、若き作家へのオーツからのアドヴァイス云々……みたいなことが書かれていたので、これはもしかすると『アリス』をテクストにしたオーツの文章読本みたいなものかな?と期待して取り寄せてみた。

 'My Faith As A Writer' とか 'To Young Writer' とかいう章には〈作家の心得、心意気〉のようなことが書かれていたが、この「最初のお気に入り:『ジャバウォッキー』から『林檎もぎのあと』まで」は比較的普通のエッセイに近いものだったので、期待とは違う結果となってしまいやや残念。

 年齢も文化も家庭環境も自分と同じだとしか思えない、自信家で無鉄砲な少女が、自分なんかより何倍も好奇心が強く、夢や悪夢に直面しても平然としているというのは認めざるを得なかった。というアリスについての一文が微笑ましい。

 「不安を呼び起こすものに笑いを引き起こされるのが子供の感覚であると、独身を通したキャロルの子供的自我が本能的に理解していた」という、乱暴なんだか説得力があるんだかわからない意見もおもしろい。
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