『ダ・ヴィンチ』2008年7月号【梨木香歩大特集/オノ・ナツメ・パラディーゾ】

 今月号は特集二つがどちらも当たり。でも見るべきところもそれくらいしかない。

梨木香歩大特集」
 映画『西の魔女が死んだ』公開に合わせて。梨木香歩ロングインタビューも掲載。ほんとに作品そのまんまの人なのか、インタビュアーが引き出すのが上手いのか。東雅夫編集長も我が道を行くインタビューコメントを寄稿。

 しかし『ぐるりのこと。』という梨木作品とは無関係な映画のタイトルはどうよ。梨木さんも一言コメントしてますね。細かいことを言やあ梨木作品自体も他人の言葉からの引用ではあるものの。
 

松本潤が超有名作をさも発見した!みたいにしゃべっていてハズイとか、大学読書人大賞というあまりにも微妙な賞が古典新訳文庫版『幼年期の終わり』に決まっただとか、罪と罰が漫画化されてたりとか、ダ・ヴィンチ文学賞が第3回も続いてるのか……とか、『幽』怪談文学賞の行灯は見るたび欲しくなるとか、西尾維新は歳を取っても誇大妄想な若者キャラを貫いてくれてるのでインタビューは面白いなぁとか、話の種はたくさんあった。

ナンシー関全ハンコ5147』『ナンシー関大ハンコ展』
 七回忌かあ。『全ハンコ』は本当に版画だけで文章はないのかな。でもそれだと魅力半減だよなあ。どうなんだろ。

キッド・ピストルズの最低の帰還』山口雅也インタビュー
 「今後はしばらく続けてキッド・ピストルズを書くつもり」だそうです。完結したのかと思っていたよ。ほほう。

『解読!アルキメデス写本』監訳者インタビュー
 写本の内容云々よりも、写本を追ったドキュメントとしての面白さかな。でも数学の概念を「わかりやすく解説してくれて」もいるみたいだ。

◇6月25日に『七面坂心中』の水沫流人『マリオのUFO』が発売される。「ブラジリアン奇譚」ということで、がらりと雰囲気が違いそう。

◇ナレッジエンタ読本からは田中圭一田中貴子『セクシィ古典』が刊行中。田中圭一は完全に手塚治虫タッチを自家薬籠中のものにしてしまったな(^^;

オノ・ナツメ・パラディーゾ!」
 オノ・ナツメ・インタビュー掲載。オノ・ナツメ×よしながふみ対談掲載。好きになったイタリアの政治家の追っかけをしてその人の影響で絵柄が変わったという、面白すぎるエピソードが披露されてたりします。『のぼうの城』は装画オノ・ナツメだからチラシが挟まっていたのか、とかに今さら気づいた。

「短歌ください 第3回」穂村弘
 恋愛が詠題だとゆるい作品ばかりになるんじゃあ……と心配していたのだけれど、選者がよければ選ばれる作品も当然よいのでした。もちろんゆるくて甘ったるいのも二、三あるけど。改悪例を載せてくれた冒頭の一首のセンスがわかります。

「先生、ここがわかりません!」岡野宏文×豊崎由美の中3国語再入門」第8回 海外文学編
 海外小説って授業ではスルーされてたよなー。わたしらのころはブラッドベリ「霧笛」、ヘッセ「少年の日の思い出」、ピート・ハミル「父へのバラード」だったかな。おかげで「And I Love Her」は今でも好きだ。今読むとどうなんだろう。今回取り上げられた二作はヒドイ言われようでしたが。
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  『ダ・ヴィンチ』2008年7月号
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