『新アラビア夜話』ロバート・ルイス・スティーヴンスン/南條竹則・坂本あおい訳(光文社古典新訳文庫)★★★★☆

 『New Arabian Nights』Robert Louis Stevenson,1882年。

 義侠心に富む若者とおバカな若者が、ものの見事に事件に巻き込まれる嘘っぽい話なのに、取って付けたような「アラビア人の著者」の枠組みを借りることで筋の通った作品になってます。

 ただ、最初の一篇「クリームタルトを持った若者の話」こそ奇想と恐怖を存分に味わえるんだけれど、その後の作品はそこから始まる(割とワンパターンな)冒険小説なので、最初の一篇で「おおっ!」と思ってそういうのを期待するとちょっと違う。

 飽くまでお気楽冒険小説です。

 明らかに怪しげなシチュエーションに自ら飛び込んで事件に巻き込まれる主人公たちとともに、遊園地みたいなサービス精神あふれる娯楽ストーリーに身を委ぬるべし。

 理由なき自殺願望者が集うロンドンの夜。クリームタルトを持った若者に導かれ、「自殺クラブ」に乗り込んだボヘミアの王子フロリゼルが見たのは、奇怪な死のゲームだった。美しい「ラージャのダイヤモンド」をめぐる冒険譚を含む、世にも不思議な七つの物語集。(裏表紙あらすじより)
 -------------

  『新アラビア夜話』
  オンライン書店bk1で詳細を見る。
 amazon.co.jp amazon.co.jp で詳細を見る。


防犯カメラ