『新本格もどき』霧舎巧(光文社カッパ・ノベルス)★★★★☆

 それぞれ綾辻・法月・我孫子・歌野・倉知・山口・有栖川各氏の「もどき」を収録。帯に各氏のコメント付。

 人形シリーズやキッド・ピストルズのようにキャラが立っている作品ではキャラが活かされ、綾辻作品では作中作やプロローグ・エピローグや館やあだ名という趣向が活かされ……と、とにかく楽しい一冊。

 綾辻もどきでは作中作も乾くるみ氷川透石崎幸二(と黒田研二?)を「もどく」凝りようを見せ、「人形は密室は推理する」のトリッキーな真相でオリジナルを彷彿とさせ、「二、三の悲劇」ではものの見方をくるりとひっくり返すロジックが冴え、「雨降り山荘の殺人」ではなく「日常の謎」の方をもどき、「長い、白い家の殺人」ではオリジナルを思わせる“錯誤”ネタを使ったり、「13人目の看護師」や「双頭の小悪魔」では舞台となる世界観までをも「もどく」手練れぶりを見せてくれます。

 「もどき」としてもミステリとしても、最終話の「双頭の小悪魔」が一番上手かったかな。

 ところでなぜ「吉田さん」なんだろ?

 記憶喪失の吉田さんはミステリマニアの店主が作るカレーを食べるたびに、新本格ファンなら思わずニヤリのあの探偵、この探偵になりきってしまう。が、その推理は……。オリジナル作者公認、華麗なる「推理&もどき」の世界。(裏表紙あらすじより)
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