『Lanark A Life in 4 Books』Alasdair Gray,1981年。
二段組みで700ページという、いっそ気持ちいいくらいの分厚さ。
帯の惹句「ダンテ+カフカ+ジョイス+オーウェル+ブレイク+キャロル+α」「『重力の虹』『百年の孤独』にならぶ20世紀最重要世界文学」というのは話半分に受け取っていたけれど、蓋を開けてみれば本当に半分くらいだったなあ。。。
訳者や評論家が好意的な文脈で書いている言葉を切り取って否定的に引用するのは意地が悪いとは思うんだけど、正直なところ「欲張りすぎてどれも中途半端」「二十一世紀の今日では、ほとんどフツー小説」でした……。
あらゆるものの詰まったごった煮てんこ盛りではあるんだけれど、それが平板な文章で綴られているものだから、本の分厚さとは裏腹に読みでがないのです。だから例えば人が竜になって爆発するという無茶苦茶な内容すらも、当たり前に読めてしまう。それと、原文はどうなのかなぁ、素材だけじゃなく文体もさまざまだったりしないのかな。文体が一本調子というのはこの手の作品には片手落ちな気もするんだけど。
完成度は高いんだろうけれど、もっとはみ出る部分があってくれないと物足りない。頭だけで書いたような印象でした。
でもほかの作品、例えば『ほら話とほうとうの話、ほんの十ほど』とかは読んでみたいな。
スコットランド文学の奇才アラスター・グレイの第一長篇『ラナーク 四巻からなる伝記』は第三巻から始まる。記憶を持たない青年ラナークは頽廃の色濃い都市アンサンクを彷徨し、謎にみちた奇怪な施設に収容され、やがて混沌と陰謀の渦巻いた大騒動にまきこまれる……悪夢的幻想世界での冒険を強靱な想像力で描く第三巻・第四巻。そして画家志望の少年ダンカン・ソーの友情と初恋、苦悩と幻滅をリアリズムの手法で瑞々しく描く第一巻・第二巻。二つの異なる世界は仕掛けに富んだ語りで絶妙に絡み合い、物語は鮮烈な黙示録的ヴィジョンをむかえる――SF・ミステリ・ファンタジー・半自伝・ビルドゥングスロマン・メロドラマ・文芸批評・メタフィクション等々あらゆるジャンル・小説形式をミックスした現代の叙事詩、ついに登場。(カバー袖あらすじより)
-----------------