ドイツ・オーストリア制作。
イギリス経済を破綻させるためにナチス・ドイツが計画していた贋札計画。政府はユダヤ人収容者のなかかから印刷技術の心得のあるものを選び出し、まずはポンド紙幣を、それからドル紙幣を作らせていた。収容者たちは、みずからが生き延びるために、ナチスのために贋札を作り続けることになる……。
主人公のサリー・ソロヴィッツがカジノで大金を使う場面から幕を開けます。一夜を共にした女に、腕の囚人番号を見られたことをきっかけに、場面は戦時中へとシフトしてゆきます……。
贋金造りのサリーは、逮捕され収容所行きに。やがて移送された先で、贋札造りを手伝わせられうことになります。
あまりにも軽い命の価値、生きるための戦争協力と戦争協力による同胞への裏切り、自分たちに与えられた温かいベッドと命の保証の一方で研究所の外で毎日のように殺されるユダヤ人、我が子を殺され死を希望する者、ナチスに協力するよりは逆らって死を選ぶ者、仲間を裏切ってでも生きようとする者、プライドを捨てて媚びを売ってでも生きようとする者……。
一見すると正反対の立場であるようなサリーとブルガーが、それぞれ仲間を助けようとしながら共に果たせないのが印象的でした。どんなことをしても無力なのは無力、やがて戦争が終わっても、死ぬ者は死んでしまいます。
戦争が終わって収容所が占拠されたときに、ユダヤ人のふりをしているナチスだと思われる場面があるのですが、このシーンはこの映画のなかでも名場面でしょう。
ブルガー原作なのに、ブルガー役がかっちょいい役なのが気になりましたが。。。
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