『ヴァイスの空』あさりよしとお原作・カサハラテツロー漫画(ジャイブCRComics)★★★☆☆

 もともとは『四年の科学』に連載されたものだそうです。なるほどそう思って見ると、Gがかかるエレベーターや遠心力の説明や宇宙空間の説明など、さりげなくストーリーにとけこんでいます。

 内容は、少年が夢に向かって突き進む王道もの。手作り感ただよう秘密道具や、八人そろえば――という設定も定番です。何よりも、主人公の少年は半ズボンでなくてはならない!(^_^;

 「子供を巻き込み」「子供目線」の作品を目指しただけあります。

 ただ個人的なことを言えば、主役二人が初登場シーンでポーズを決めたり、ルージュの場面でお涙頂戴になったり、すべってるギャグを挟んだり――わたしは、子ども向けまんがのそういう強引なところにシラけていた子どもだったので、そういうところは評価できませんでした。子どものころに読んでいたら「馬鹿にすんな」って思っていたでしょうね。

 一年間の連載だったり掲載誌が学習雑誌だったりと、いろいろ制約が多いのだろうなとは思いますが。

 ちょうど本書と同じタイミングで読んだ『SFが読みたい!2009年版』山本弘インタビューに、「子供向きの小説というのは、子供にわかるものばかり書いていたら飽きられる。子供は背伸びしたいものだから、よくわかんないことがあったほうが面白がる、と誰かが言っていたと思いますが、たしかに真理だと思います。だから大人向けのネタも入れてます」と書かれていて、はからずも両方の立場に立つ人たちの考えを垣間見られました。

 悪役のアトルムが、悪人顔というより変態顔なところが笑った(^^;。

 空がなく、すべてを管理された世界。この世界に住む好奇心旺盛な少年・ヴァイスは本物の空を見ようと「上」を目指して建物の壁を登っては失敗、の日々を繰り返していた。

 ある日、友達のネロから空に繋がっているかもしれないリフトがあると聞き、調べに出かけるふたりだったが……。

 痛快冒険活劇のマスターピースが第1話フルカラー掲載&あさり×カサハラ対談収録の完全版で登場!!(カバー裏あらすじより)
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