「SFマガジン表紙ギャラリー(9)
鶴田謙二が一年間担当していた年があったんですね。
「SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー全3巻刊行開始!」
掲載作もすべて公開されてます。イーガンの未訳作「Steve Fever」とかボブ・ショウの「去りにし日々の光」とか。
特集は「海外から見た東京SF」。解説と監修は小谷真理。
高野史緒「アントンと清姫」は、道成寺の話を露和の政治話に置き換えてタイムトラベルを咬ませた話。安珍→アントンというネーミングセンスや、歌舞伎のアレンジは「江戸っ子の愛だからね。801同人と同じさ」など、ところどころでこっ恥ずかしい。ガイジンの見たトーキョーという特集に合わせたのか、著者の天然なのか、よくわかりません。
クリストファー・バルザックはとても苦手な作家なのでパスしました。「きみよりもリアルに」(Realer Than You,Christopher Barzak,2007)。タイトルだけで背筋がぞわぞわします。。。
「「地」と「海」のメタボリズム 東京の都市計画とSF」ウィリアム・S・ガードナーはエッセイ。日本のSFは「空」に向かわずに「地」と「海」に向かう、という切り口から。書き下ろし。
チャールズ・ストロス「日本への旅」(Travelling to Japan)。こちらも書き下ろしエッセイ。著者が体験した皇居、モノレール、ロボット、温泉etc.。
ジェニファー・レネア「トウキョウ=マガイ」(Pseudo Tokyo,Jennifer Linnaea,2008)は、タイトルどおりの東京まがい。ぼくは転位旅行で訪れたトウキョウで、ふとしたことから霊界に迷い込んでしまい……(袖惹句より)。河童やヤクザの刺青といったアイコンが用いられた、「異世界としての東京」というよりは「異世界の東京」。
「東京SF大全」は特集ガイド。
「MEDIA SHOW CASE」「SF BOOK SCOPE」
◆映画は『インセプション』『プレデターズ』。メディアでは渡辺謙の話題先行でしたが、『インセプション』はいろんなところで評価高いですね。『プレデターズ』は相変わらずの異星人というより悪役レスラーみたいな着ぐるみ感がたまりません。
◆籐真千歳『スワロウテイル人工少女販売処』は期待したほどではありませんでした。秋口ぎぐる『ガールズ・アンダーグラウンド』は重病者が優遇されすぎて逆差別が起こっている共同体で反政府活動に参加した少女が云々。朝日ノベルズって聞かない名前ですがどんなシリーズなんでしょう。
◆海外SFでは、チャイナ・ミエヴィル『ジェイクをさがして』のほかには、『英雄たちの朝』ジョー・ウォルトンが「ルドルフ・ヘスの単独渡英が実を結び、イギリスとドイツの講話が成った世界」を描く歴史改変SF三部作の第一部だそうです。
◆ほかには『機械探偵クリク・ロボット』やピンチョン『メイスン&ディクスン』など。
新城カズマの連載はお休み。代わりに北野勇作「南の島のハッピーエンド」が掲載されてます。
「太陽の帝国」樺山三英、今回はJ・G・バラード『太陽の帝国』。作中の言葉を信じるなら全10回で、次回が最終回なのかな。単行本が出るころまでには、未読の原作を読んでおきたい。
「テーマ・アンソロジーを編む楽しみ」大森望×山岸真
SFマガジン記念アンソロジーの刊行記念対談。
「クリストファー・ノーラン・インタビュウ」(インタビュアー渡辺麻紀)
『インセプション』監督インタビュー。
----------------
『SFマガジン』2010年9月号
オンライン書店bk1で詳細を見る。
amazon.co.jp で詳細を見る。