今月号はドラマ「シャーロック」とホームズ・パロディ特集。主演のベネディクト・カンバーバッチインタヴューのほか、北原尚彦によるパスティーシュのほか、小特集として五代ゆうらによる百合ホームズ短篇が掲載されています。その他、小山正氏による、未訳のホームズ戯曲『シャーロック・ホームズ』紹介(ホームズ俳優ジレットによる、ドイル公認戯曲)。
『短篇ミステリがメインディッシュだった頃 (11)MSMM(II)』小鷹信光
前回に引き続き『マイク・シェーン・ミステリ・マガジン』について。短篇集&アンソロジーの書影が2ページにわたって掲載されていて壮観です。
「ボウザーのお望みは?」フレッチャー・フローラ/小鷹信光訳(Only the Best for Bowser,Fletcher Flora,1957)
――若いころの夫はかっこよかった。今は旅行にも連れて行ってもらえない。行くならいずれ「最良」のところにするのだ、とうそぶいて。
この旦那自体はとーぜん駄目男なんだけれど、「より上」を言い訳に現在から逃避する、というのは少なからず身に覚えがあり痛いところです。
「骨」ヘンリイ・スレッサー/高橋知子訳(Bones,Henry Slesar,1969)
――訪れたその男は考古学の発掘のため敷地を勝手に掘り返したことを詫びると、発見した人骨を学問のために調査に出したいと……。
ベタといえばベタなのですが、読者も同じ土俵に乗っけて騙してくれる構造が嬉しい作品です。
「書評など」
◆デイヴィッド・ミッチェル『クラウド・アトラス』は、表紙のデザインに惹かれなかったのでスルーしていたのですが、入れ子構造の主流文学寄りの作品ということで、わりと好みかも。デイカー・ストーカー『新ドラキュラ』は、『ドラキュラ』の正当な続編と言われて期待していたのですが、単に子孫が書いたというだけのような気も。
◆『坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー』は、その名のとおり、坂木司がテーマと書き手を選んで書いてもらったアンソロジー。近藤史恵&ペット、大崎梢&本屋さんの姉妹編もあり。
◆東欧の想像力シリーズの最新刊、ラジスラフ・フクス『火葬人』は、『ミステリマガジン』で風間賢二氏が、『SFマガジン』で牧眞司氏がそれぞれ紹介していることから、シリーズのなかでもかなりの傑作の部類の予感。
◆北条遙『404 Not Found』。見覚えのある著者名だと思ったら、『リライト』の著者でした。気になりつつ結局まだ買っていないのですが。やはり気になる。。。
『迷宮解体新書(62)天弥涼』村上貴史