『S-Fマガジン』2010年11月号【ハヤカワ文庫SF創刊40周年記念特集PART・II】

 特集後篇は、単行本未収録作1篇に、初訳作3篇。珍品ばかり集めた感じ。

ジャッジメント・エンジン」グレッグ・ベア小川隆(Judgment Engine,Greg Bear,1993)
 半端ない未来。人間の人格(己格)だけがライブラリに保存されている。問題を解決するため「わたし」は「われわれ」に呼び出されて目覚めた。スケールの大きなところで女性問題とかどーでもいい話をする。

「温かい宇宙」デイヴィッド・ブリン中村融(The Warm Space,David Brin,1985)
 宇宙で原因不明の事故が続発したため、新型人類(ほぼロボット)が旧型人類(現代人タイプ)をだまくらかして実験台にして原因を探らせようとする。とてつもなく古き良き時代ふうのSF。「宇宙戦争」とかオチ。

「手を叩いて歌え」オースン・スコット・カード/田中一江訳(Clap Hands and Sing,Orson Scott Card,1982)
 老いさらばえたタイムマシンの開発者が、相思相愛なのに喧嘩別れしてしまった女友達と初体験しに、若き日にタイムトラベルする。そんな気持ち悪い話が、ロマンチックべたべたに描かれたために、さらにとんでもないことになってる。

「ジョージと彗星」スティーヴン・バクスター中村融(George and the Comet,Stephen Baxter,1991)
 目覚めたらぼくは猿だった。その森にはジョージという猿と二匹きり。どうやら人類はすでに滅んでいるらしく、未来人が遺伝子を再生しようとして間違って猿にしてしまったらしい。だがその目的は――? お猿さんの話。これがいちばん面白かった。

大森望の新SF観光局(16) 海外時間SF短篇総まくり」
 

「MAGAZINE REVIEW」〈アナログ〉誌《2010.4〜2010.7/8》東茅子
 ジョン・G・ヘムリイ「剣と鞍」(Swords and Saddles)は、「実際に起こった行方不明事件を下敷きにした」「歴史異世界タイムスリップもの」で、「一八七〇年のアメリカ西部」から「別の世界のアメリカに移転して」しまう話。
 

「MEDIA SHOW CASE」「SF BOOK SCOPE」
◆『バッキンガムの光芒』、『アンランダン』(チャイナ・ミエヴィル)、『いちばんここに似合う人』(ミランダ・ジュライ岸本佐知子訳)、『もののけの正体』。

「怨讐星域 第16話 テンゲンの山頂にて」梶尾真治
 

忍法帖の本質に迫る」月村了衛
 『機龍警察』の著者が、忍者ものの本質を突き詰めた新作『機忍兵 零牙』。(風太郎×白土三平+α)×ゴシック。
 

「片理誠インタビュウ」「森田季節インタビュウ」
 どちらもJコレクション刊行記念のインタビュー。片理誠『エンドレス・ガーデン』は、「パズルや謎解きへの志向性があるのでしょうか?」とインタビューされるような内容らしくてちょっと気になる。
 

「ハヤカワ文庫SF完全リスト(下)」
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