イヤミス特集ということで、解説一つに新作一つ。ミステリーズはもうちょっと特集に力をそそいでもよいのでは――。
「背徳の羊」美輪和音
――知り合いの息子と我が子がよく似ていることから、篠田は妻の不貞を疑っていた。そんなとき知り合いの妻から「あなたの近くに背徳の羊がいる」という匿名の手紙を見せられた……。
イヤミス特集に合わせた書き下ろし。そんなに耐えられないようなイヤな話ではなくてほっとしました。妻のキャラがキモイといえばキモイですが。
「ウサギの寝床」西澤保彦
『魔の山の殺人』(第3回)笠井潔
――訪問者は村の郵便局で見かけた女ではないのか。わざと事故を起こして橋を通れなくしたのではないか――。ナディアはカケルに疑問を口にしてみるが……。
連載で読むのは苦手です。せっかくの最後の暗合からインパクトが失われてしまいました。
「ノーフォークの人狼卿の事件」北原尚彦
――これはマクドナルド警部とホームズが初めて出会った事件である。狼に化けて敵を殺して村を守った伝説を持つ一族の末裔が、狼のように四つ足で這っているのを目撃された……。
現実味のある切れ味鋭い真相か、または「這う人」並みの荒唐無稽な真相であればよかったのですが、中途半端でした。
「ファンサイトの挑戦状」竹内真
――原作のドラマ化に批判的なサイトが予想した次回作のシナリオ――ところが実際のシナリオがその予想通りのものだった。困り果てたプロデューサーは……。
ミステリではない。内幕もの。
「皆川博子『双頭のバビロン』の世界」
「ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション」川出正樹
クライム・クラブの続き。警察小説。
「レイコの部屋」(第3回)
『あがり』の松崎有理インタビュー。次作は『イデアル』東京創元社より刊行予定。電子雑誌『アレ!』に「ユーリー小松崎の架空論文」連載中。