『ミステリマガジン』2013年1月号No.683【ミステリが読みたい!2013年版】

 何年か前に本誌から独立していた年度ベストがふたたび本誌に吸収されました。海外一位のアーナルデュル・インドリダソン『湿地』は前々から読みたかった作品。『ミステリマガジン』のランキングで三津田信三が一位というのは意外でした。
 

月村了衛トークショー(ゲスト・堂場瞬一)『機龍警察 暗黒市場』刊行記念」
 作家がインタビュアー役なので、作品に対する取り組み方の違いなど具体的なことがわかります。通りの名前、武器に対するこだわり。
 

アルモニカ・ディアボリカ』(1)皆川博子
 『開かせていただき光栄です』の続編が連載開始です。
 

「迷宮解体新書 59 横山秀夫」村上貴史
 久々の新刊『64』刊行。

書評など
◆ドラマ『実験刑事トトリ』は、倒叙もの。『世にも不思議な物語2』のDVD-BOXが発売。

ポケミス『首斬り人の娘』は、魔女と糾弾された老婆を救うために首斬り人が真相をさぐる歴史ミステリ。シリーズものらしい。ギリアン・フリン『冥闇』は、「兄弟の絆を描く温かなお話のように」思えて、「あの手この手を加えることで、まさかこんなにも息の詰まるような小説になろうとは」という、「兄に冤罪を着せたかもしれない妹の苦悩」。『複製された男』は、ポルトガルノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの作品。

◆今月は国内も充実。横山秀夫『64』アガサ・クリスティー賞受賞中里友香『カンパニュラの銀翼』モーリス・ルブラン『綱渡りのドロテ』が主人公の瀬名秀明『大空のドロテ1』。鮎川賞受賞作青崎有吾『体育館の殺人』東野圭吾探偵ガリレオ 禁断の魔術』
 

「レポート 小鷹信光氏『マルタの鷹』改訳を語る」鈴木豊雄
 『「マルタの鷹」講義』に触発された改訳についてあれこれ。
 

「短篇ミステリがメインディッシュだった頃(8) AHMM(1)」小鷹信光
 ヒッチコック・マガジン。名前だけでわくわくしてしまいます。スレッサー「手長姫」というのが気になったが、「ルースの悩み」の別訳らしい。
 

「モッキングバードは歌う」ポーリン・C・スミス/小鷹信光(The Mockingbird Sings,Pauline C. Smith,1969)
 ――わたしは翼をのばし、大きくひろげた。わたしは自分が鳥に生まれ変わるまえ、人間の少年だったことを知っていた。記憶のなかから一人の少女が心に浮かんだ。母は彼女との結婚に反対していた。
 

「ミステリ・ヴォイスUK(61) 靴下人形事件」松下祥子
 「靴下人形(ソックパペット)」とはネット上で使う別アカウントの偽名のこと。アホな作家が自作自演で書評して売り上げを伸ばしているのだと得意げに暴露してしまったのを発端に、ライバルを別アカウントで貶していた作家があぶり出され……ということがあったそうです。スティーヴン・レザーにいたってはただ貶すだけではなく、作品の内容をわざと誤って伝えていたというから悪質です。

 


防犯カメラ