資料とエッセイ篇。小説はアンソロジーのほうで、ということのようです。
「ミステリマガジンの存在意義とは?」小鷹信光×松坂健×日下三蔵×杉江松恋
「創刊当時の異常な興奮」紀田順一郎
「ミステリマガジン700号の歩み」新保博久・三橋暁
「71人が語るミステリマガジン思い出のコラム」有栖川有栖・池上冬樹・大森望ほか
「傑作コラムプレイバック7」
「編集ノート」M(都筑道夫)/「続パパライスの舟」小鷹信光/「プレイバック」山口雅也/「エラリイ・クイーン語る」インタヴュー/「現代暗黒小説の流れ」藤田宜永/「書斎の旅人」宮脇孝雄/「梅田漫画」梅田英俊
「演出家・堀切園健太郎インタヴュー」
「お帰りなさい。名探偵マーロウ。」権田萬治
エッセイのタイトルは、ベンジャミン・ブラックによるマーロウ・パスティーシュ『The Black-Eyed Blonde』に対するニューヨーク・タイムズ書評の見出し「Hello, My Lovely」を意訳したもの。
「迷宮解体新書(76)司城志朗」村上貴史
NHKドラマ『ロング・グッドバイ』小説版の著者。「僕がチャンドラーだと思っていたのは実は清水俊二だったのでは」という人が書いたという点に不安が残るが、「チャンドラーが書いた表現、比喩は、ひと言も使っていない。にもかかわらず、どのページを開いてもチャンドラー」という意気込みに惹かれます。
「ミステリ・ヴォイスUK(78)ドナ・タートの新作」松下祥子
「書評など」
◆アイザック・アダムスン『コンプリケーション』はポケミスの新刊。歯車の装幀にも惹かれますが、「共産主義体制下での秘密警察による尋問の記録」「ナチス・ドイツの脅威に揺れる時代に、プラハ在住のユダヤ人が亡き妻に綴った手記」「十六世紀の錬金術師、エドワード・ケリーの伝説」といった、ストーリーの合間に挿入される「時代も様式も異なるいくつもの文章」に惹かれました。
◆若竹七海『暗い越流』は、日本推理作家協会賞を受賞した表題作を含む短篇集。連城三紀彦『小さな異邦人』は没後編まれた短篇集。「シンプルな短篇ミステリの驚きを味わえる」「再読すると細部まで計算された物語のつくりに驚嘆する」等、連城マジック衰えず、といったところのようです。米澤穂信『満願』も短篇集。白川三兎『神様は勝たせない』は、メフィスト賞作家による「サッカーのPK戦という短い時間のなかで変化してゆく中学生たちの心奥を描いた作品」。面白そうです。
◆ほかにイアン・マクドナルド『旋舞の千年都市』、漫画『Smoking Gun 民間科捜研調査員 深田緑』など。