『ミステリマガジン』は『探偵はBARにいる2』特集。興味がないのでオール・スルー。
「書評など」
西崎憲『短篇小説日和』は『英国短篇小説の愉しみ』のダイジェスト+増補版。『鳥類学者無謀にも恐竜を語る』はタイトルがいい。『それ町』11巻はミステリマガジンで取り上げられるのも納得のミステリ&怪奇の巻。『インテリぶる推理少女とハメたいせんせい』は、『ウロボロス』や『ディスコ探偵』の名を挙げ、「新本格のミステリはこうした尋常ならざる言説をエンターテインメントとして積極的に見いだしてきました」というところに惹かれます。先月号か先々月号に広告が載っていた『フィルム・ノワール ベスト・コレクション』、ばら売りもするのですね。小山正氏が『ミルドレッド・ピアース』『3階の見知らぬ男』を紹介していました。
『S-Fマガジン』は恒例『日本作家特集』
「11階」小田雅久仁 ★★★★★
――「十一階が……ちいちゃん……」妻の日菜子は片頭痛の発作とその“前兆”にしばしば襲われていた。十階に住んでいた日菜子の家族は屋根裏に「星空」を作り、小学生のころはそこでよく遊んでいた。
恐ろしく悲しい物語を経験してしまった者が、それを抱えたまま穴に消えて葬ってくれるから、世界は壊れてしまわずに存在していられる――ごっこ遊びの子どもの空想と、やがてそうした空想を必要とする経験をしてしまった人間の観念が、現実を浸食し、主人公は「ここにはない場所」に迷い込む……。SFや怪談でよく扱われるこの三つの要素が一つの物語に紡がれることで、これまでに読んだことのない感情が胸に迫って来ます。
「死んでれら、灰をかぶれ」松永天馬
――あらゆる女の子はお姫様であった。しかし王子様はいつまでたっても現れない。探しに行かねばならないのだ。幻想を打ち砕いて。
本誌で以前からやたらとプッシュしているアーバンギャルドのリーダーによる初小説作品。
「The Show Must Go On !」仁木稔
「乾石智子インタビュウ」
「SFまで100000光年(117) そっくりのじゅもん」水玉螢之丞
「書評など」
ラファティ『蛇の卵』、ド・サン=マルタン『クロコディル』、飯沢耕太郎『ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ』、エクス・リブリスの一冊『空気の名前』、『鳥類学者無謀にも恐竜を語る』など、今月は読みたい本が多い。
「SFのある文学誌(18) 科学的達成の極限と嫌悪 明治のヴェルヌ・ブーム4」長山靖生
『Vingt Mille Lieux sous les mers』というタイトルについての考察あり。
「街に兵あり」デイヴィッド・モールズ/矢口悟訳
「見たことのない風景のために」寺田克也×加藤直之
寺田克也氏がSFマガジンの表紙初登場だったとは意外でした。
「大森望の新SF観光局(33)トーレン・スミスのManga人生」
日本の漫画の英訳出版に貢献した方の追悼。
「乱視読者の小説千一夜(28)裏庭の呼び声」若島正
マイナー・ポエット、ジョゼフ・ペイン・ブレナンについて。「沼の怪」「帰ってきて、ベンおじさん」(これはどちらもB級。。。)「スティルクロフト街の家」は読んだことがありますが、若島さんのおすすめは「浮遊術」。