『月刊IKKI』2013.6、『アフタヌーン』2013.6、『おおきく振りかぶって』21

『月刊IKKI』2013年6月号(小学館

「三丁目クオンタム団地」今井哲也
 『ハックス!』『ぼくらのよあけ』の今井哲也による読み切り漫画。2013年4月25日、宇宙の物理法則が狂ってしまい、並行宇宙のあらゆる可能性が交差し、何でもありになった世界。門限まで時間をつぶしていた小学生・紙木ユミは、団地の溜まり場で作業している高校生を見つけた。 著者らしい不器用な純愛に加えて、必然性のあるSF的設定。ファンタジーが必要とされる人のところにファンタジーが届くのです。神様もとい物理法則も粋な計らいをします。

「かっこいい縄文時代」吉田貴司
 第61回イキマン受賞作。その名のとおり、タイムマシンで縄文時代に来てしまった科学者たちが、かっこつけて生きている(かっこよく描いている)話です。

『螺旋のドギー』(7)北田おか
 「犬」と呼ばれる異形の人獣たちと、それを狩る少女・累。累のしもべ伊空が謎の女子高生に捕らえられ、伊空もまた「犬」であると告発される……。 初めて読んだのでよくわかりませんが、何だかかっこいい伝奇漫画。この手の漫画にしては絵が耽美じゃないのもいい。
 

月刊アフタヌーン』2013年6月号(講談社

 今月号から四季賞がポータブルではなく、本誌に吸収されてしまったんですね。それにともない掲載も四季大賞だけ。四季賞と審査員特別賞も来月号以降に掲載されるといいのに。

おおきく振りかぶって』99「まっすぐ」ひぐちアサ
 武蔵野戦の反省。そして榛名が三橋に言った「バックスピン」の真意は――。 阿部くん、榛名に電話できるようになったんだ。そんなことに驚きです。

げんしけん 二代目』87「何か来る」木尾士目
 女装をやめた波戸君と男三人でアニメ話に花を咲かせる斑目先輩とクッチー。そして季節はコミフェス。「あの方」がやって来る――。 波戸君が男の格好をすることで女性陣が引っ込み斑目先輩も出番が増えたのかと思った先から、来月号もまたまた斑目先輩が中心に? コミフェスということで荻上さんも頑張ってるし、なんやかや登場人物の多い回でした。ハト君はやはり女装しないと上手な漫画を描けない模様。

『思春期シンドローム』(3)赤星トモ
 「症例3 喪失」はつき合って一か月で胸を触わられた女の子が友だちに相談する話。四季賞受賞作にあった、こういうちょっと胸がぽっかり空いた感じがよい。それだけに、「症例1 女関係」「症例5 答えあわせ」を読むにつけても、先生視線というのは必要かなあと感じてしまいます。普通であれば第三者の視線を導入して幅が広がるのはいいことなのですが。「症例4 昔の男」は、どうやらシリーズ化されたらしい、(元)霊感少女キューもの。

ネメシスの杖』4「阿里玲の長い一日・後編」朱戸アオ
 被害者認定されなかった少女の遺族を訪れた阿里・紐倉は、少女が自殺したことを知る。誰も責任を取らない体質が変わらないことを憤る少女の父親。 事件はよくあるところに落ち着きそうですが、やはり真面目一本槍な阿里とつかみどころのない紐倉のコンビが最高です。カブトムシの名前だけで交渉する紐倉(^^;。中田カウスみたいな人が登場してます。悪役が似合うなあ。

「マキと渡とすげえキモチ悪い虫」前田迎・作/森田るい・漫画
 2013春の四季大賞受賞作。 同僚の髪の匂いをかいで思い出した。学生時代の友人マキのことを。だが携帯に出たマキの弟から、マキは五年前に死んだと伝えられる。 古本屋で昔の漫画雑誌をぱらぱらとめくっていたら、載っていそうな、そんな絵は、好みではないけれど、死者の携帯にかかってくる電話をシュレーディンガーの猫になぞらえた発想や、黒と白の使い方やアングルに凝った造りは好きです。

宝石の国』7「ウェントリコスス」市川春子
 なめくじの言葉がわかるのをほかの宝石たちから異常者扱いされてしまうフォス。ようやく目を覚ました先生。なめくじから海に誘われるフォス。 タイトルの「ウェントリコスス」はなめくじの名前。本人曰く、王様であるらしい。ほれっぽい奴です。

『神様がうそをつく』(2)尾崎かおり
 またもサッカーのコーチから心ないことを言われ、合宿をさぼって鈴村の家に泊まるなつる。 

『プーねこ』(109)北道正幸

『たくのこ』8「よみがえる日々」花輪園人
 最終回です。 せんべい最後の一枚を姉に食べられそうになった弟は、姉と新聞チャンバラの勝負をすることに。そこに「道場主」兄が現れる……。 当たり前ではありますが、最終回だからといって特別なことはありません。いや、とってつけたような「正装」記念写真ふうの単行本カットが。

タナトスの使者』3「file.1 安田隆一3」赤名修・吉田穰
 file.1はどうやら今回でお終いのようです。迫力と表現力のある絵と、プロらしい余裕と本気に満ちた登場人物でしたが、真相はわりと普通で拍子抜けでした。。。

『ミズサキマキ』1「これが彼女の仕事です」吉本ゆーすけ
 水惑星再開発推進機構に務める真紀の仕事は、宇宙人の立ち退きでした。 新連載。傍若無人なOLが宇宙人に振り回されるコメディかな。
 

おおきく振りかぶって』(21)ひぐちアサ講談社アフタヌーンKC)
 抽選会と文化祭と武蔵野第一戦。モモカンのチームメイトの話は本誌で読んでました。花井が三度もふやけた顔をしてます。何だかんだ気にしていたようです。そうか三年生が引退したから秋丸が正捕手なんですね。いろいろやらかしまくってます。

   


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