『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』1〜5+特典DVD(アシェット)

 今さらですが、ディアゴスティーニみたいな分冊版DVDコレクションで『ミステリー・ゾーン』が刊行中です。英語 or 日本語吹替えのみ(字幕なし)、解説冊子のやる気のなさ、等々、なかなか完全とはいきませんが、これまで日本語版は手に入れることさえ難しかっただけに、分冊版ということもあって、通して観るにはよい機会だと思います。

 1号に3話収録、各1,790円。

第1号「死神につかれた男」「運という名の男」「スクリーンの中に消えた女」
第2号「過去を求めて」「良心を売った男」「星に流された男」 このあたりはまだ序盤。古い作品ということを差し引いてもまだまだ傑作というには程遠い出来です。そんななか白眉は「過去を求めて」。苦さが前面に押し出されているにもかかわらず、どこかしんみりした甘さを感じるのは、わたしの心にも過去への憧憬があるからだと思います。

 以下あらすじ。

「死神につかれた男」……死ぬ順番を拒否したために、代わりに子どもの命を狙われたセールスマン。死神からのタイムリミットを前に、一世一代のセールストークをおこなう。

「運という名の男」……落ちぶれたガンマンが、偶然拾った拳銃は百発百中だった。旅の男から、飲めば必ず命中するという薬をもらったガンマンは、いざ決闘におもむくが……。

「スクリーンの中に消えた女」……過去の栄光のなかに生きる老女優。昔の主演作を鑑賞し、端役の依頼はすべて拒否していた。

「過去を求めて」……仕事の途中で久しぶりに故郷を訪れた男。懐かしい顔ぶれ、町並み、メリーゴーラウンド。だが実家に帰っても両親からは赤の他人扱いされて追い出されてしまう。

「良心を売った男」……病気に神経質な男が不死の身体を手に入れた。やがて男はスリルを求めて危険なことを繰り返すが、何もかもに飽いてしまい、とうとう殺人を犯すが……。

「星に流された男」……無人星に島流しにされた男の唯一の楽しみは、定期巡視に来る職員との会話だった。何度目かの巡視の折り、職員は親切心から女性型ロボットをプレゼントする。
 

第3号「廃墟」「悪夢」「審判の夜」
 ここに来てぐっと出来がよくなってきます。傑作の呼び声高い「廃墟」、チャールズ・ボーモント作「悪夢」、Uボートの恐怖を描いた「審判の夜」等、はずれがありません。

「廃墟」……何よりも読書が好きな男。仕事をさぼって銀行の地下金庫で本を読んでいたところ、核戦争が起こり、廃墟と化した地上に一人残されてしまった。

「悪夢」……精神科医のもとに相談に来た男は、何度も繰り返し見る夢があり、夢に出てくる女に殺されると訴える。

「審判の夜」……目覚めると英国の客船の上。理由はわからないが、男は怯えていた。この船は沈没の危険にさらされていると――。徐々に思い出す断片。自分はドイツ軍の艦長なのか……?
 

コレクター版エピソード「ザ・タイム・エレメント」「そこには誰もいなかった」「地獄にきた男」
 日本語吹替え版が存在しなかった3エピソードを収録。「ザ・タイム・エレメント」は幻の第一作。「そこには誰もいなかった」は本国版の第一話。

「ザ・タイム・エレメント」……自分が十数年前の真珠湾にいることに気づいた男は、必死で日本軍の攻撃を知らせようとするが、狂人扱いされてしまう。

「そこには誰もいなかった」……誰もいない町に一人きりでいることに気づいた男。どうやってここに来たのか、自分が誰なのかも思い出せない。とうとう孤独から発狂しそうになったところ……。

「地獄にきた男」……警官に撃たれて死んだギャングの前に現れた男は、何でも願い事を叶えてやると言う。初めこそうかれていたが、すべてが「望み通り」の意外性のない毎日に飽き飽きして来た。
 

第4号「誰かが何処かで間違えた」「彼に必要なもの」「顔を盗む男」
 リチャード・マシスン原作「誰かが何処かで間違えた」、ハートウォーミングなつかみから軽いツイストの効いたメイン・ストーリーにいたる予言もの「彼に必要なもの」など。

「誰かが何処かで間違えた」……宇宙旅行から帰ってきた大佐は怯えていた。自分たちは三人いたはずだ。なのに二人しかいない。自分以外は誰ももう一人のことを覚えていない。

「彼に必要なもの」……相手に必要なものを売るセールスマン。酒場でそれを見た小悪党が、自分に必要なものを出せと脅す。

「顔を盗む男」……あらゆる顔に変装できる特技を持った男。女も金も思いのままだった。だが、ギャングに追われて逃げ込んだ先で、ポスターに写った顔に変身したばかりに……。
 

第5号「地球への脱出」「放たれた矢」「ヒッチハイカー」
 「地球への脱出」はリチャード・マシスン原作。ネタバレな邦題が多いです。「放たれた矢」における極限の人間ドラマともども、時代を差し引かずともそのまま現代に通用しそうな傑作です。「ヒッチハイカー」には何番煎じかになるネタが用いられていますが、女性ドライバーのモノローグが新鮮でした。

「地球への脱出」……48時間後、核ミサイルが発射されることが決定した。知っているのは一部の関係者のみ。ある科学者は家族を連れて宇宙に逃げようとする。

「放たれた矢」……発射直後行方不明になった宇宙船。未知の星に不時着し、生き残ったのは三人のみ。水と食糧を求めて諍いが始まる。

「ヒッチハイカー」……時速100kmで走行してタイヤをパンクさせたナン。修理直後から、行く先々で同じヒッチハイカーを目撃する。

 出版社ホームページ → http://www.mysterydvd.jp/

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