『アフタヌーン』2015年6月号
四季大賞掲載。ミギーフィギュア付き。
『ディザインズ』01「義足《ペグ》と猟犬《ハウンド》」五十嵐大介
2014年6月号に掲載された読み切り「ウムヴェルト」の設定を引き継ぐ新連載。(恐らく)続編や同一世界の作品ではなく、改造人間という核となるアイデアだけが一緒のまったく新しい作品だと思われます。しょっぱなから戦争兵器として用いられていて、いまのところ読み切り版のような人間ドラマ性は見られません。
『おおきく振りかぶって』120「埼玉県大会18」ひぐちアサ
ちょっと見ないあいだにこんなことに。
『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』11「岸先生、怖い男もいます!」草水敏・恵三朗
新薬の治験をあっさりOKする岸先生。しかし……。
「変わりもの」熊倉隆敏『ネオ寄生獣 No.7』
――とある田舎町。狩りのため遠出してきた男は「仲間」を見つける。家族と暮らしている変わった仲間だった。こんな田舎で人間を飼っているのには理由があるという。寄生した人間が死病を患っていたのだ。そこで生きるために……。
おお。本気度が高い。パロディやオマージュ止まりではなく、ちゃんと一個の作品として勝負に出ています。「寄生した人間が死病を患っていたら?」という、寄生獣本篇では触れられることのなかった疑問点を著者なりに突き詰めて、その問題と立ち向かっている寄生獣の話が書かれました。
『マージナル・オペレーション』23「活動開始」芝村裕吏・キムラダイスケ
『花井沢町公民館便り』10 ヤマシタトモコ
希《のぞみ》の母親の日記。日記の内容も、希の最後の一言も、恐ろしいものでした。
『げんしけん 二代目』111「男の器」木尾士目
クッチーを送っていった部屋で、つまづいて波戸に覆いかぶさってしまう斑目先輩。う〜ん、さすがにこの展開はついていけない…。
『宝石の国』31「新鮮な」市川春子
アレキから月人についてのレクチャーをうけるフォス。月人と言葉は通じるのか――。5/22、第4巻発売。
「世界の夜の片隅で」戸井理恵
――まだ就職活動のことは考えず絵一本にこだわりたい稲本。「空気よめよ」と言われた言葉が頭を離れない。やがて藤沢という自由奔放な編入生に振り回されることになる。
2015年春のコンテスト四季大賞受賞作。登場人物がいい人ばかりの爽やかな作品で、何かを追いかけている気持ちよさがいっぱいでした。その反面で「空気よめよ」が内容に不可分にリンクしてはおらずうわすべりしている印象でした。
『マイボーイ』15 木村紺
弥太郎が後輩たちに試合を通して身を以て教えます。
「蟻飼いアンヌ」文月タカヒロ
――巨大な蟻を飼育し、肉を売って生計を立てている祖父と孫娘アンヌ。だが女王の寿命が近づいていた。新しい女王を見つけなければ――。そんなとき養蟻場を襲うカギムシの噂が――。
四季賞準入選者の読み切りデビュー作。や。たぶん作者は虫が好きなんだろうなあと思います。そして、虫を気持ち悪くないように描けるというのはこれで一つのすごい才能だと思います。昆虫というロボットのようなフォルムを持った生き物と、カギムシという怪獣のようなフォルムを持った生き物が暴れ回るのは、それだけで読んでいて楽しかったです。
『マイボーイ』(2)木村紺(講談社アフタヌーンKC)
第二巻はポチ(中村説人)と小次郎の二人の活躍が読めます。あまり感情を表に出さないポチが、ちょっとだけ(かなり?)興奮しているのは――「恋。」だそうです。小次郎編は「ザ・スモッグ」や「面長」など、著者の笑いの才能があふれ出ていました。普段はおちゃらけている弥太郎ですが、マジな顔をするとさすがに怖い。それにしても茂田井さんは薄倖そうな様子がよく出ていますね。おまけ漫画が『神戸在住』っぽくてほんわか。
『蟲師外譚集』豊田徹也・今井哲也・熊倉隆敏他(講談社アフタヌーンKC)
蟲師トリビュート。豊田徹也「影踏み」・今井哲也「組木の洞」・吉田基已・芦奈野ひとし作品は『good!アフタヌーン』掲載時に読んでいるので、未読の熊倉隆敏「歪む調べ」を読みました。蟲師が四年ぶりに訪れた村はさびれ無人となっていた。ただ一人生き残っていたのは、蟲も見えないのに蟲師を詐称する詐欺師だった。蟲師だった父親の遺品である岩笛を吹いて山呼《ヤマコ》を呼び寄せ、薬で祓って金を稼いでいたのだ。だが大挙した山呼に為すすべもなく――。
地形によって異なる現象、「増えすぎて不利益となれば」おのずから姿を消す蟲の習性、そういった人間の意図とは無縁のままならないところが、原作の蟲(師)らしかったと感じました。