『ミステリーゾーン DVDコレクション』42・43(アシェット)

『ミステリー・ゾーン』42「再び故郷へ」「命を刻む時計」

「再び故郷へ」(Of Late I Think of Cliffordville,1963.4.11,ep116)★☆☆☆☆
 ――フェザースミスは人を踏み台に一大帝国を築き上げたが、どこか物足りなさを感じ、できることなら故郷に戻って一からやり直したいと考えていた。その夜、13階で停まったエレベーターから降りると、デブリンと名乗る悪魔がいた。だがすでに悪魔に魂を売ったような生き方をしていたフェザースミスには、魂ではなくほぼ全財産を要求した。

 いいかげん食傷気味の悪魔との契約もの。成功者が人生に物足りなさを感じて昔に戻りたがるという事情がこれまでのものとは違います。しかしながらフェザースミスは結局は未来の知識をもとに儲けようとするだけで、そんななぞるだけの生き方つまらないと思いますし、何がしたかったのかがそもそもよくわかりません。しかも単純なアナクロニズムに気づきもしない愚かっぷり、ほんの数回の失敗だけでパニックになる小物っぷり、何の意外性にもなっていない「中身はもとのまま」等々、雑な造りの作品でした。
 

「命を刻む時計」(Ninety Years Without Slumbering,1963.12.20,ep132)★★★☆☆
 ――おじいさんのサムが時計いじりにあまりに夢中なため、孫娘夫妻は心配し、友人の精神科医に診てもらうことにした。サムは精神科医に向かい、誕生祝いにもらったあの時計が止まれば自分も死ぬと言うのだった。

 リチャード・デ・ロイ脚本。時計に取り憑かれたという感じではなく、どこまでも人の良いおじいさんというところが、作品の雰囲気をよくしています。パトロール中の警官に見つかったときの、こわばって固まるコントのような動きなど、いい味を出しています。魂と言い合いをする場面もユーモラスですが、放映時期を考えても、『クリスマス・キャロル』を意識したクリスマス・ストーリーなのだと思います。
 

『ミステリー・ゾーン』43「落ちた時計」「指輪の中の顔」

「落ちた時計」(The Incredible World of Horace Ford,1963.4.18,ep117)★★★☆☆
 ――おもちゃ会社に勤めるホレイスは、子どものころの楽しかったことが忘れられず、四十近くになってもおもちゃに夢中だった。設計した玩具を不採用にされて腐っていた夜、子どものころに住んでいた通りに出かけると、子ども時代の友だちが当時の姿のままで遊んでいるのを目撃する。

 レジナルド・ローズ脚本。これもまた食傷気味のノスタルジーものですが、子ども時代を美化していたという結論になるのが苦くて現実的でした。
 

「指輪の中の顔」(Ring-A-Ding Girl,1963.12.27,ep133)★★★★☆
 ――映画女優のバニー・ブレイクがファンから贈られた指輪をはめると、指輪のなかに顔が浮かび「帰ってきて」と語りかけるのだった。故郷に帰ってからも、指輪にはさまざまな顔が浮かび上がった。バニーは何を思ったかひとり行動を起こすのだった。

 アール・ハムナー・Jr脚本。話の内容どうこうよりも、売れっ子女優の気まぐれ〜な感じがそれっぽくてなんだか楽しかったです。そんなふわふわした様子とは裏腹に、怪異にも動じず着々と恩返しの計画を実行してゆくバニーが凛々しく見えました。こうしたバニーの普段着の振る舞いが、よくあるオチを見抜きにくくする煙幕になっていたと思います。
 

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